スマホゲームに転生した件について
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1:名無しNIPPER[saga]
2020/11/29(日) 21:36:48.59 ID:G6eT6hH50
男「本当ですか?」

神「神が言うのだから、間違いないのだよ」

男「転生したスマホゲームでシナリオクリアすれば、現実でなんでもやりたい放題というのは、にわかに信じがたいですが

神「信じなくてもいい。だが、事実は事実だ。何人もの人間がこの道を通ってきたのさ」

男「ふーむ。ということは、今まで実績はあるんですか」

神「そうだねえ。この世で成功者と呼ばれている人間の一部は、このゲームのクリアした者であることは保証するよ、神だからね」

男「胡散臭い宗教みたいな文言ですね」

神「君の中での神への認識がそうなっているのだから仕方ない、言ってしまえば、僕の存在がそれの証明さ。夢の中に生まれて、君に幸福を与える。この夢において僕は神だ。分かっているんだろう」

男「まあ、これが夢だという自覚はあります。本当の現実は明日の出張に備えて、夜9時に就寝したはずです」

男が現実の話をすると、神の肌の表面が電子レンジに入れられた卵のように、ぴしりと大きいヒビが入った。

神「おい、不用意に僕の世界を壊さないようにしてくれ。現実はあまりにも強いから、この世界には劇毒なんだ」

男「夢と現実は相反するものですか」

神「そうだねえ、相反するものだけれど元は親子さ。夢は現実によって隷属される。夢は、卵。卵は鶏がいないと生まれない。その卵の可能性は鶏によるんだ」

男「その理屈だとこんな夢を見ている私は、相当な頭パッパラパーなのですね」

神「卑下するなよ。夢に貴賤はないんだから。今はただ現実を忘れて、時間経過が現実に比べて遅いこの夢の中で、悠々自適にスマホゲームライフを楽しむといい」

男「スマホゲームライフ…私は恥ずかしながら、スマホゲームというものをしたことがないのですが、初心者でも楽しめますか?」

神「スマホゲームはひと時の退屈な時間を紛らわす、邯鄲の夢。ただ一つのことを守れれば、仲間たちとともに素敵な生活を送れるはずさ」

男「その一つとは?」

神「課金、さ」

冷たい風が、男と神の間に流れる。

男「夢の中なんですよね?」

神「夢にも秩序がある。秩序を守らなければ、スマホゲーム世界が壊れてしまう」

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