190:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 02:21:47.05 ID:tRJaplXx0
「アリババの兄カシムは、裕福な妻をもらったところから始め、街でも指折りの大商人として働いていました。貧乏な妻をもらったアリババとは比べものにならなかった。それが、升に残った一枚から推理したことで、アリババが大量の金貨を手にしたのだと知った時、彼は《どうしようもないほどの嫉妬にかられ》るのです。
カシムはアリババを問い詰め、魔法の洞窟のこと、その入り口を開く呪文を聞き出し、宝を持ち出しに行きます。そして最期には、魔法の呪文、《開けゴマ》のことを忘れてしまった為、洞窟に閉じ込められ、帰って来た盗賊たちに殺されてしまいます。
カシムは欲深いたちでした。しかし、その為に身を滅ぼしたのではありません。強欲には罰が下るという教訓話ならば、宝を載せすぎたあまり、牛が動かなくなったところへ盗賊がやって来る≠ニいったような最期の方が自然です。が、実際のところは、彼は洞窟を開く時には覚えていた呪文を、洞窟の中で忘れてしまった為に閉じ込められるのです。欲深いのが悪かったにしては、かえって奇妙な最期じゃないですか。そもそも、強欲なのはアリババも同じですよ。兄の亡骸を目の当たりにした直後でさえ、財宝に手を出すのですからね」
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