白雪千夜「アリババと四十人の盗賊?」
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199:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 02:27:03.54 ID:tRJaplXx0
「襲いに来たつもりが、手痛い反撃を受け、盗賊団は壊滅しました。しかし、被害が甚大すぎましたね。やり方の効率が悪かったのです。ややこしい侵入法を選んで、三十八人全員で乗り込んだりするから、かえって足元を掬われた。

 アリババ邸は分かったのだから、正面から襲いかかり疾く住民を皆殺し、あわよくばその前にちょっと拷問しておいて、盗まれた宝を探し出してしまったら、憲兵がやってくる前に魔法の洞窟へずらかればよかった。実際、二人の案内役が失敗を犯すまでは、彼らは殆どそういう風にするつもりだった筈です。それまでの二回は油商人を装うような綿密な計画など練らず、まず街へ向かうのですからね。

 事情が変わったのはきっと、二人の失敗があったから。ただの強盗では済まされなくなったから。アリババの前に三十八人で姿を見せる必要が生まれたから。何となれば、盗賊団としてやっていく為に。結束の為に。名誉の為に。

 アリババ――つまり、モルジアナ――の警戒を侮ってはいけないと悟ったのもあったでしょうが、それよりも、いえ、だからこそ、知らしめてやらなければならなかったのです。宝を奪われた。仲間を失った。やられたらやりかえさなくてはならなかった。三十八人でアリババを囲んで、じっくりと知らしめてやらなければならなかった。彼が何をしたのかを、何を奪ったのかを。相手にしたものの脅威を、盗賊団の権威と力量を。

 その尊厳への固執が、彼らに破滅を呼んだ」


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