佐々木「クリスマスだね」キョン「そうだな」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 22:08:53.43 ID:MFd4PAJFO
「そろそろクリスマスだな」
「おや? 君がクリスマスの話題を出すとは思わなかった。どういう風の吹き回しだい?」

どういう風の吹き回しも何も、近頃めっきり冷え込んだ原因であるシベリア寒気団に俺のほうが文句を言いたいくらいだ。

「サンタクロースをいつまで信じていたかなんてそんな他愛もない世間話にもならないくらいのどうでもいい話がしたくてたまらないという顔をしているように見えるよ」

どんな顔だそれは。やれやれと口にするのも億劫である。俺は顔面を外気に晒さないようマフラーをずり上げて、ひとこと尋ねた。

「そう言うお前はいつまで信じてたんだ?」
「無論、今でも信じているとも」

正気か? いや、さすがに冗談だろう。

「世界中の子供たちにプレゼントを配ってまわるご老人が本当に存在するかについてはともかく、それを居ないと声高に主張する必要性を僕は感じない。実在しないとは限らないし、実在したほうが都合が良いからね」

それは果たして誰の都合だろうか。
少なくとも、俺にとっては困る問題だ。
もしもクリスマスの日にだけ働く赤服じいさんが実在するなら、俺だけがその恩恵に預かれていないことになってしまうではないか。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 22:10:54.60 ID:MFd4PAJFO
「なるほど。君はあくまでも本物のサンタクロースから贈り物を贈呈されたいというわけか」

知ったような口ぶりでそう分析する佐々木に反論する気力など皆無な俺は黙々と、すっかり日が短くなり、暗くなった夜道を歩く。

「キョン。もしもサンタクロースが居るとすれば、どんな人だと君は思う?」
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 22:13:19.05 ID:MFd4PAJFO
「では君はサンタクロースがどんな魔法を扱えると想定している? 参考までに教えてくれ」

いったい何の参考にするつもりなのやら。
ともあれ、ここで出し惜しみをするほうが恥ずかしがっているように見えるのではないかと勘ぐった俺はサンタが扱える魔法について推察を述べた。

以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 22:15:19.17 ID:MFd4PAJFO
「歩くのが早すぎたか……?」

佐々木はあれでいて女生徒である。
俺の歩調に合わせると早歩きとなる。
ましてやくだらないサンタの設定に気を取られていたので、俺のほうが知らず知らずのうちにいつもよりも早く歩いていたのかも知れない。引き返すべきだろうか。いやしかし。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 22:16:59.48 ID:MFd4PAJFO
「ごめんよ。てっきり前に居る僕のことを君は認識しているものとばかり思っていたから、よもや見失っているとは考えなかった」

それはそうだろう。誰だってそう思う筈だ。
小走りでちょっと先の自販機まで行って飲み物を買っていたら、いきなり名前を呼ばれて慌てて戻ってみれば友達が自分のことを見失っていたなんて、滑稽すぎて笑えない話だ。

以下略 AAS



6:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 22:19:16.73 ID:MFd4PAJFO
「缶コーヒーを開ける時も離さないとはね」

片手で器用にプルタブを開けて見せた俺にやれやれと呆れつつ、佐々木は自分用のカフェオレを差し出してきた。俺が何も言わずに開けてやると、満足そうにくつくつと笑った。

「なんだかいつもよりも甘い気がするよ」
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 22:22:46.61 ID:MFd4PAJFO
涼宮ハルヒの直観、素晴らしかったです。
最高のクリスマスプレゼントでした。
もしもまだ読んでいらっしゃらないならば、是非おすすめします。

最後までお読みくださりありがとうございました。 メリークリスマス!


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