9:名無しNIPPER[saga]
2021/01/13(水) 21:24:19.44 ID:PWbcHGAJ0
任務開始は、世界時刻にしてAM8:00きっかり。
私は、それまでに一通りの書類を整理し、任務の最終確認を行う。
そして、その間にリーフが作戦室にきて、健康診断が行われる。
私に埋め込まれた生体チップから、健康状態、睡眠時間、正常な精神状態であるか、などを判断する。
リーフは、扉を二度叩いて、いつものように告げる。
「リーフです。指揮官、任務前の健康診断のお時間です」
「ああ、入ってきてくれ」
そして、リーフを招き入れると、私は椅子に座り、首を見せる。
首筋に埋め込まれたチップに彼女が触れると、全身に痺れが走る。
そのあと、数分間、そのままの姿勢で待つ。
本来なら、雑談でもするところだが、彼女は私と目線を合わそうとしなかった。
だが私は、どうしても彼女と話す必要があった。
私が今回の件において、一番の不安の種だったのが、実はリーフである。
彼女は、真面目で、繊細で、責任感が強い。
今回の乱暴な私の振る舞いに対して、彼女がなにも思わないわけがない。
傷ついた心に対するアフターケアは、必要なことだ。
処置を誤れば、それは何年も彼女の心身を苛むだろう。
リーフは二度の家族との別れを経験している。
1度目は、父と母の別居、2度目は戦争による招集。
それは、この時代における多くの者が抱えていた、過剰な責任と不安定な環境であった。
さらに、同年代で飛びぬけて優秀であった彼女は、人ならざる構造体へと踏み込んだ。
いや、違うな。
大人が、踏み込ませた。
彼女が気づいているかはわからないがそれは彼女の想い以上に、強いものだ。
リーフ「指揮官、注意すべき点として、疲労が警戒水準、睡眠も同様です。こちらは任意となりますが、意識促進剤を打ちますか?」
指揮官「頼むよ」
彼女は手慣れた手つきで、注射器に薬剤を注入する。衛生兵としての経験は、確実に彼女の中で息づいていた、
リーフ「注入の際、少し、痛むかもしれません。痺れなどを感じましたら、すぐに教えてください」
一通り、滞りなく終わったところで、私は声をかけた。
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