玉座の間にて
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29:今日はここまでです ◆CItYBDS.l2[saga]
2021/02/11(木) 09:30:12.99 ID:oNIrsuw50

魔物どもの不在で、俺達は束の間の平穏に息を整えることができた。体と刀にまとわりついた魔物どもの血肉を剥がし、大叔父の指揮の下魔王を探しはじめる。

非常に大きな城だというのに、魔王の所在は思いもよらず容易く見つかった。
城門から一直線に、城の中央へと通ずる廊下を進んだ果て。今、我らの前に、荘厳な装飾が施された巨大な扉が立ちふさがる。

間違いない。この扉の向こうに、魔王がいる。

その姿が見えずとも、扉から溢れ出る瘴気が。そして、我らの体に流れる勇者の血がそう確信させる。誰一人として口を開こうとしない。この先に我らの願い、希望、憧れの全てが坐しているのだ。

あまりの静寂に誰かの、唾を呑みこむ音さえ聞こえる。

先頭に居た大叔父が、振り返り、生き残った家族の姿を名残惜しそうに眺める。
その表情は何処か優し気で、寂し気で、かつて目にしたことのないほど安らかなものだった。

「それじゃあ、行こうか」

そう呟くと、大叔父は扉に手をかけた。


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