7:名無しNIPPER[sage saga]
2021/02/08(月) 23:31:26.20 ID:QpWAPgXRO
「ま、まあ、待てよ」
とりあえず、落ち着こう。
震える膝を誤魔化すことを諦めて、俺は部内に置かれたパイプ椅子に座った。深呼吸。
「別に取って食うつもりは無いんだろ?」
「命を奪うつもりはない」
それを聞いてホッとする。
考えてみれば当たり前の話だ。
長門は以前、俺の命を救ってくれた。
暴走した朝倉の凶刃から俺を守ってくれた。
では、何故俺を罠に嵌めるような真似を。
「あなたは無防備すぎた」
俯いて思案していたらいつの間にか目の前に長門が佇んでいた。感情が窺えない無機質な視線と無表情で俺を見下ろしている。怖い。
「私がいつもと違う行動をするだけで、あなたはすぐに罠にかかった」
「そ、そんなことを言われても……」
「私がふざけているのを見たあなたは動揺しながらも嬉しそうだった。それが敗因」
返す言葉もなかった。俺は、そうか。
俺は、嬉しかったのだ。長門の奇行を見て。
いつもとは違う日常に、わくわくしていた。
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