小林「あなたは……誰ですか?」トール「……えっ?」【小林さんちのメイドラゴンSS】
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299: ◆bhlju8wMK6[saga]
2025/09/01(月) 21:29:26.58 ID:oEqW1vd60

物言わぬドラゴンの骸「……………………」

トール「……予想はしてましたよ。もし本当に私が小林さんと出会えなかった事で世界が分岐したのなら……、
    “こっちの私”は亡くなっているのだろう、なんて事……」

トール「他の方々からすれば悲劇なのかもしれませんが……。私からすれば、これはただの怠慢の結果ですよ」ハッ

トール「どうせあなたの事です。死んでいく時には、助けを求める声一つ上げずに、黙ってひっそりと死んでいったんでしょう」

トール「分かりますよ、他ならぬ“私”の事です。あの時の私なら、きっとそうしましたから……」

トール「勢力の意向も無視して、独断専行で神に挑んだ末に、惨めに敗走したんです。
    その上で混沌勢に――お父さんに――救援を求める無様は晒したくなかった」

トール「他の勢力……傍観勢や調和勢に頼るのは論外でしたし、それに、この異境の生命体に助けを求めるのも、プライドが許しませんでした」

トール「……プライド。フフッ、アハハッ! ……笑えますね、ほんと、馬鹿で」フフッ

トール「自分の中から生まれたものでもない、内心自分でも大したものだと思っていない――、
    他者の猿真似に過ぎないプライドや体裁に最後まで縛られて死んでいくなんて、滑稽です」

トール「……そんなか細い繋がりを後生大事に抱えたまま逝く位なら、初めから意地を張らずに、腹を割って話をすれば良かったのに」

終焉帝「……トールよ……」

トール「……ほんと、ほんっと馬鹿ですっ……臆病者です……!」ドンッ

トール「要は怖かったんです。誰かを頼る事が、自分の弱さを他者に見せる事が……」

トール「……それでも、一度で良かった。ほんの一度、勇気を出して助けを求める声を上げていれば!
    この世界でも同じ様に、小林さんに見つけてもらえていたかもしれないのにっ……!」ギリッ

小林「トールちゃん……」




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