小林「あなたは……誰ですか?」トール「……えっ?」【小林さんちのメイドラゴンSS】
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379: ◆bhlju8wMK6[saga]
2025/09/05(金) 22:30:23.76 ID:F5wXTSaO0

トール’『…………出会えたから、かな。美しい、善いと思える光景に』

イルル「…………?」

トール’『怨みも憎しみも胸に在るままに、その上でそれらを脇に置いて美しいと、壊したくないと思える光景を、最後に我は見れた』

トール’『不思議なものだ。その光景の事を思うと、復讐とか破壊とか、何だか途端にどうでもよく感じてしまった。
     前はあんなに固執していたのにな……』フフッ

イルル「……っ! そんな、馬鹿な……っ!」グラッ

トール’『……イルル。お前も同胞を、人間達によって殺されていたな』

イルル「ッ! そうだ、だから私はあいつ等を全て根絶やしにする為に……!」ギッ

トール’『その憎しみは当然のものだ。大切な者を奪われた悲しみと怒りを消し去る必要はないし、また消し去ってはいけないのだろう。
     それは、その者達との大切な思い出を忘れないという誓いでもあるからだ』

イルル「……!? お、おう……?」

トール’『だが同時に、悲しみや怒り以外の想いもあるはずだ、お前の中にも』

イルル「…………っ!」

トール’『楽しかった事、嬉しかった事。誰かへの思い遣り、慈しみ、愛情……。“他者と手を取り合いたい”と願う気持ち。
     そうした輝かしき景色は時に憎しみによって容易く塗り潰されてしまいがちだが――それもまた、決して忘れるべきではないだろう』

イルル「それは…………っ。だがっ…………!」フルフル

トール’『――大丈夫。きっといつか、お前も出会える』

イルル「っ!」

トール’『痛みも憎しみも消さぬままに抱えて……。その上で、この者の隣で歩んでいきたいと思える様な、そんな相手と』

イルル「……お前は、出会えたのか? そんな奴と……」

トール’『ああ、生憎こんなナリになってしまった故、実際に共にある事は出来なかったが』ククッ

トール’『――お前もいつか会ってみると良い。我が父、我が朋友たるドラゴン達。そして……、“小林”と言う人間に。じゃあな――』スウ……

イルル「あ、待てっ――!」



サアアアア……



イルル「…………………………」

イルル「……コバヤシ、か」ポツリ







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おわり




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