【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」【安価】
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527:いぬ ◆FaqptSLluw[sage saga]
2021/06/28(月) 16:32:35.57 ID:XuW6VRWq0
――どこまで行っても、俺は孤独だった。


 スペシャルウィークは気丈なウマ娘だった。どれだけ絶望しても這い上がるほどの根性を持っていた。それは俺にとって、あまりにも眩しい星の光だった。

 ツインターボは溌溂としたウマ娘だった。どんな困難にもめげずに突撃していく様は、まさしく天性の努力家だと思えた。それは俺にとって、手の届かない風だった。

 マヤノトップガンは天才肌のウマ娘だった。どんな些細な兆候も見逃さず、自分の力に変えていく様は、まさしく天性の才能を感じさせた、それは俺にとって、追いつくことのできない夕陽だった。

 それぞれがそれぞれ、俺を上回る存在だった。だから俺は彼女たちを支えようと努力した。――だから俺は孤独だった。

 彼女らは、確かに俺のことを慕ってくれていたのかもしれない。俺のことを理解しようとしてくれていたかもしれない。でも、それは絶対に出来ない。胸中で管を巻く諦念が、絶望が、真の意味で彼女たちには理解が出来ない。

 むしろ今まで考えてこなかった方が異常なのだ。何度繰り返されるかもわからないループ。才に勝る桐生院ならまだしも、俺のような木端がループしたところで――本当に結果が出るなんて思えなかった。

 自信なんて最初からなかった。トレセン学園に入ってからだって、俺はずっとずっと劣等感を覚えていた。ハッピーミークを確立された理論で育成する桐生院トレーナーのような知識も、控えめな目標を持っていたナイスネイチャをあそこまで育て上げた手腕も。

 この不安がわかる人間などどこにもいない。この焦りがわかる人間などどこにもいない。この絶望がわかる人間などどこにもいない。この停滞がわかる人間などどこにもいない。――酩酊できるのであれば、もうこの世界を認識できないほどの酔いで好みを満たしたいくらいに。


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