結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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780: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/15(土) 23:56:39.73 ID:2z6G7I5Go


上条「…………」


 絶体絶命の状況にあるはずの上条は何も答えない。
 ただ、チカラを振りかざそうとする男を見ているだけだった。
 垣根は舌打ちをしてから、



垣根「つまり、テメェは終わりってことだよッ!! クソ野郎がァァあああああああああああああああああああああああああああああッ!!」



 未現物質で出来た六枚の翼が急速に縮み始めた。
 遥か後方から大量の空気や破壊した障害物を巻き込むような音が聞こえる。
 全てを吹き飛ばすエネルギーが垣根の前方へと放たれようとされる。


 ゾオォッ、


 瞬間、垣根の全身に悪寒が走った。
 ピタリと収縮する翼の動きが止まる。急ブレーキを掛けられたことによる反動で通路に強い風が巻き起こった。
 風で茶髪を大きく揺らしながら、垣根はゴクリとツバを飲む。背中の翼が粒子となって消える。


垣根(な、なんだ……? 今の殺気はッ……!)


 止めなければ死ぬ。このまま攻撃を続けていたら殺されていた。
 彼の直感がそう悟り、無理やり未現物質の動きを停止させた。
 死ぬ? 誰が?
 殺される? 誰に?
 垣根は見た。



 あらゆるものを叩き潰すようなプレッシャーを放つ、上条当麻を。



 『AIMジャマーのメンテナンスが終わりました。AIMジャマー再起動まで残り一分です。繰り返します――』。

 通路内にある拡声器からアナウンスが流れた。
 その声を聞いた垣根はハッ、と我に返る。
 一分後にAIMジャマーが起動する、つまりタイムリミットがすぐそこに来てしまったということ。


垣根「クソッ!! やっちまったッ!!」


 垣根は自分がやるべきだったことを思い出し、それがもう達成できないということに気付き、激昂した。
 今から一秒で目の前の男を殺し、一秒で一方通行が居る場所へ行けば、まだ五〇秒ほど時間が残るか。
 そんな時間で目的を果たせるのか。おそらく無理だ。そこまで簡単に済む話ではない。


 だったら、任務関係なく一方通行をこちらへ引きずり込んで倒すしかないか。





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