【シャニマス】芹沢あさひ(17)「わたしも、変われてるっすか?」
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5:名無しNIPPER
2021/07/15(木) 20:36:28.33 ID:zC+4wYex0
 プロデューサーさんが直接きてくれることは減ったけど、こうしてわたしが帰りに事務所に寄るとだいたいいるので、会う頻度が減ったわけではなかった。ストレイライトとは違う。

 愛依ちゃんと冬優子ちゃんとは、2年くらい前から会う機会が減っていた。愛依ちゃんが20歳で、冬優子ちゃんが21歳の時。たしか、さみしいなと思ってしばらく経った頃、気が付けば、事務所のテレビでドラマを通して冬優子ちゃんをみることの方が多くなってた気がする。でもあれは冬優子ちゃんじゃない。ふゆちゃんだ。愛依ちゃんもだいたいそう。

 あの頃から、2人と繋がりたくてSNSをよく見るようになった。今では意味もなく開いてしまうこともあるけど、きっかけはそこだった覚えがある。果穂ちゃんの投稿にいいねをつけて、スマホをソファに投げ出した。
以下略 AAS



6:名無しNIPPER
2021/07/15(木) 20:37:10.97 ID:zC+4wYex0
 変わらないものもある。

 プロデューサーさんは、ずっとわたしのこと見てるって約束してくれた。だからこうして事務所に来れば会えるし、稽古の様子も聞いてくれる。

 ストレイライトはグループとしての仕事仲間だから会わなくなることもあるけど、プロデューサーさんは仕事の相棒だから、会わなくなることはない。ずっと一緒。
以下略 AAS



7:名無しNIPPER
2021/07/15(木) 20:38:02.31 ID:zC+4wYex0
 変わってしまったものは元には戻らない。

 例えば、切った髪は簡単には元の長さには戻らない。見慣れてないからかもしれないけど、わたしは髪が長い方が冬優子ちゃんらしいと思う。

「何よ、埃でもついてる?」
以下略 AAS



8:名無しNIPPER
2021/07/15(木) 20:39:15.93 ID:zC+4wYex0
 冬優子ちゃんが前屈をしようとしていたから、背中を押そうと後ろに近づいて、やっぱりやめた。何事もなかったようにバーに手をついて、アキレス腱を伸ばす。

 変わるものは外側だけではなかった。たぶん内側の、わたしも変わっているのだと思う。
 冬優子ちゃんがわたしのことを好きじゃないことは、なんとなくわかっている。でもそれは別に嫌われているとかそういうことではなく、本来であればわたしは冬優子ちゃんに構ってもらえるタイプの人間ではない、という意味に近い。
 ユニットメンバーだから構ってくれる。逆に、わたしもユニットが違ったら冬優子ちゃんとはあんまり話してなかったかもしれない。
以下略 AAS



9:名無しNIPPER
2021/07/15(木) 20:40:02.74 ID:zC+4wYex0
「そ……そうっす! 再来週です!」
「再来週ね。空けとくわ」

 冬優子ちゃんは鏡越しにわたしの顔を見ながらストレッチをしている。

以下略 AAS



10:名無しNIPPER
2021/07/15(木) 20:40:57.64 ID:zC+4wYex0
 カチ。
 音が鳴ったら、レッスンは終わってた。

「お疲れ様、2人とも今言った課題を次のレッスンまでに完璧にしてきてね」
「はい、わかりましたぁ」
以下略 AAS



11:名無しNIPPER
2021/07/15(木) 20:41:44.04 ID:zC+4wYex0
「冬優子ちゃん」

 冬優子ちゃんが着替えに向かったので、わたしもそれに倣って着替えを済ませて、冬優子ちゃんに汗拭きシートをわけてもらって、制服に着替え直した。シャツを新しいのに変えたから気持ちいい。

「もう帰るんすか?」
以下略 AAS



12:名無しNIPPER
2021/07/15(木) 20:42:36.78 ID:zC+4wYex0
 事務所に戻ると、リビングには誰もいなかった。でも鍵はかかってないから誰かいるはずで、いろんな部屋を開けてみる。倉庫は埃っぽくて、最近は使われていない様子だった。空の抜け殻だ。

 社長室を10回ノックしてみると、中から「芹沢か」と声が聞こえた。誰かいたことが嬉しくて、そうっす! と返事をしながら入ると、社長さんが飴をくれた。もう子供じゃないのに。でもよくみると黒あめだった。うーん。

「プロデューサーさん知りませんか?」
以下略 AAS



13:名無しNIPPER
2021/07/15(木) 20:44:26.29 ID:zC+4wYex0
 プロデューサーさんは放っておくとずっと事務所にいたがるから、たまに社長さんが早く帰るように言っている。そういう時は大体次の日元気そうにしてるから、やっぱり社長さんはプロデューサーさんのことよく見てるんだと思う。

 ソファの隙間に手を突っ込む。ひんやりして気持ちいい。
 社長さんとわたしは何を喋るでもなく、万年筆が紙の上を滑る音に耳を澄ませていた。悪くはない。心地は良い。でも暇だ。
 リビングに戻ろうと社長室の扉を開けると、帰り際に社長さんが向こうから話題を振ってきた。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER
2021/07/15(木) 20:45:31.66 ID:zC+4wYex0
「敬語が上手になったな」

 リビングでなんとなく社長さんの物真似をしてみたけど、全然似てなかった。あんなに低い声出ない。

 1人のリビングはじっとしてると時計の針の音がよく響いてて、その奥に冷蔵庫の駆動音が混じっている。霧子ちゃんにはユキノシタさんの声も聞こえるらしいけど、わたしには植物の声は聞こえなかった。医学部に行けば聞こえるのかもしれない。ジィー。窓の外から油蝉。喉が渇いた。
以下略 AAS



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