4: ◆p1Hb2U6W8I[sage saga]
2021/11/11(木) 20:50:21.03 ID:8ZjmxtrQ0
「えっと、じゃあミルクをもう一つもらっていいか?」
「はい、かしこまりました〜♪」
朋花が懐から差し出すパック入りのミルクを恐る恐る受け取る。
信じられないかもしれないが、今日はなんと朋花の誕生日なのである。
そんな日に給仕をさせるとはなんと極悪非道な暴君かと思われるかもしれないが、そもそもこれは朋花から言い出したことだ。
今日は誕生日だからしてほしいことはあるか、と尋ねたのが今朝のことで、それに対する回答がこれである。
貴方の世話をさせてほしい。
えっ、普通逆じゃね?
あまりに不可解で、了承するのに時間がかかってしまった。
結局、朋花のプレッシャーに押し切られてしまったが。
背後からの視線が気になりつつ、朋花が用意してくれたインスタントコーヒーにミルクを注ぎ込む。
「・・・インスタントコーヒーにはミルクを二つ入れるんですね」
今の状況では、小さなその呟きも意味深に聞こえる。
自意識過剰かもしれないが、いつもより見られているような気がする。
お、俺は何か試されているのか・・・?
「他に用事はありませんか〜?」
「・・・特に無いよ」
「それでは、こちらに控えていますね〜♪」
俺の困惑を余所に、当の朋花は随分と楽しそうだった。
こんなににこやかなメイドさんに丁寧な給仕をしてもらって、悪い気はしないのは確かなのだが。
「〜♪」
いや、抜け目のない朋花のことだ、この笑顔の裏にどんな思惑があるかは分からないのだから、気を抜かないようにしないと。
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