79:名無しNIPPER
2021/11/27(土) 23:34:17.56 ID:u50g9+A20
舞台袖に戻ってくると、とたんに浮ついていた足元がはっきりと感じられた。
まるで雲から地面の上に降り立ったみたいに。
「か・な・で・ちゃーん!」
大きな声とともに、思いっきり、友紀が私に抱き着いてきた。あまりにも急で、私は危うくバランスを崩してこけそうになってしまった。怒ろうかと思ったけど、友紀の声には涙が混じっていて、私は何も言えなかった。
「よかった、すごく良かったよ」
「奏おねーさん!」
友紀に続いて、仁奈ちゃんも私に抱き着いてきた。
「もう二人とも」
「そうだぞー、ずるーい、ユッキーと仁奈ちゃん!」
プンプンと、非難の声の方を見ると、フレちゃんが立っていた。そしてフレちゃんの脇には、
「文香……なにそれ?」
文香が、椅子に座っていた。キャスター付きの椅子だ。
フレちゃんは、文香の座った椅子を、コロコロと押しながら私の元にやってきた。
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