11: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/11/28(日) 06:59:54.48 ID:vPGydQ4T0
「ごめん……俺のせいで……こんな事するほど怒らせてしまって……本当にごめん」
「うん、うん」
問答無用で罰せられても仕方がない俺なんかの謝罪を、懺悔を。
優しいスカーレットは静かに聞いてくれる。
「そりゃ……不愉快だよな。学び場である学園で、あんな話題で盛り上がってしまって。怒ったお前が自宅に乗りこんでも仕方がない」
「……ん?」
「しかも……俺の好きなセクシー女優が……お前と特徴が似ていて……気持ち悪い想いをさせて、本当にすまない」
「……は?」
「けど俺は……今さらこんな事言えた立場じゃないけど、お前にこんな事はしてほしくないんだ。お前の信頼を裏切った、不愉快な俺への意趣返しなんだろうけど……こんな、君らしくない事はしないでくれ」
「……」
責任は取る。取らなければならない。
でもそれは、単にトレーナーを辞めるだけで済む話じゃない。多感な時期である少女の感性を歪めてしまったフォローは、ちゃんとした上で辞めなければ。
「責任はちゃんと取る。君のレースへの影響が少ない時期を見計らって、有望な女性トレーナーと交代して俺は退しょ――」
「……っ!!」
意を決して口にしようとした言葉は、最後まで口にする事ができない。
というのも、何か強い衝撃に突然襲われてひっくり返ってしまったからだ。
いったい何が起きたのか。衝撃の影響で視界がぼやけている状態だが、何かとてつもなく大きい感情が目の前で破裂したのはわかる。
ではそれは誰の感情だったのか。
天井を仰ぐ俺に無表情で覆いかぶさる、スカーレット以外ありえなかった。
『……』
沈黙が辺りを支配する。
俺は何が起きているのか理解できず、スカーレットはというとあまりに激しすぎる感情にどうしていいかわからず、固まってしまっているようだ。
「スカーレット……?」
「……」
沈黙に耐えかねて――というより、スカーレットの行動が理解できなくて、緊迫した場面なのに自分でも間が抜けていると感じられる力のない呼びかけが部屋に響く。しかしスカーレットは黙したまま。
別に体は痛くはない。強い衝撃で押し倒されたようだけど、痛いというよりビックリしたというところだ。スカーレットが感情のまま俺を突き倒したとすれば骨の一本や二本折れているはずなので、彼女はまだ自分をコントロールできている。
しかし――自制できているのならば何故、自分の信頼を裏切った俺なんかに覆いかぶさるのだろうか?
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