6: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/11/28(日) 06:56:16.49 ID:vPGydQ4T0
「俺は……俺はどうやってウオッカに謝れば……」
つい思いを馳《は》せていると、振り絞るようなしゃがれ声で我に返る。
「……取りなしてほしいですか?」
「……え?」
ずっと下げられたままだった頭がようやく上げられた。
久しぶりに合った視線に、少しでも安心させられるようにと優しくほほ笑む。
「ウオッカとの仲を、私が取りなしましょうか?」
「い、いいのか……ウマ娘が通う学園で、こんな話をついしてしまった俺を……助けてくれるのか?」
「はい。ちゃんと反省しているようなので」
本当はアタシの取りなしが無くても、この二人なら数日ほどぎこちないだけで自分たちで解決できるだろう。けどそんなコトはおくびにも出さずに恩に着せる。
「ありがとう……ありがとう……」
今にも泣きだしそうな声音で感謝するその姿は、普段より一回りは小さく見えた。
――でもね、感謝するには少し早いの。
「あ、そうだった。君のトレーナー、アイツは悪くないんだよ。話を振ったのは俺から――」
「いいえ、それで話は済みません」
悪いのは自分だけ。
そう話そうとしたウオッカのトレーナーを遮って静かに、でも力強く断定する。
穏便な話の流れが途端に変わり、彼は目を丸くしたまま固まった。
「私が貴方とウオッカの仲を取り成す条件は一つ」
鼻血を流すほど混乱していたウオッカの証言だけでは足りない。
そちらの知識が十分に豊富で、面と向かって話していた相手の証言が欲しい。
「“彼”がどんな動画を観ているのか、洗いざらい話してください」
あとついでに、貴方が持っている彼の個人情報も。
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