【ミリマスSS】待ちぼうけのバースデー【中谷育】
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3: ◆p1Hb2U6W8I[sage saga]
2021/12/16(木) 19:04:51.35 ID:75fHlW9w0
「ありがとうございましたー!」

機材やセットが飾るスタジオに、育の元気いっぱいな声が響く。
元々短い予定だったが、育がミス無くこなしてくれたおかげで予定よりも早く収録が終わった。
スタジオの隅っこ、出入口の真横で俺も見守っていたのだが、何も手出しをする必要が無い仕事ぶりだった。

「プロデューサーさん、おつかれさま!」

「お疲れさま、育。すごいじゃないか、ディレクターさんも、完璧だったって褒めてたぞ」

「えへへ、昨日、おかあさんとたくさん練習したの!」

そう言いながら満面の笑みを見せる育を眺めながら、ふと扉越しに廊下を横目で見ると、先ほどエントランスにいた女の子が歩いているのが見えた。
一瞬しか見えなかったが、その澄ました顔にはほんの僅かな不安の色が見え隠れしていた。

「えっと、しゅうろく早く終わったよね?プロデューサーさん、この後いっしょに・・・」

遠慮がちに俺の顔を窺う育。
今日はこの子の誕生日だから、ちゃんと傍にいてあげないと・・・

「・・・ごめん、育」

いや、やっぱりあの子のことも放っておけない。

「ちょっとここで待っててもらっていいか?」

「えっ・・・」

育は驚きの表情を見せた後、明らかに落胆している様子だった。
罪悪感に胸が痛んだが、とにかく今はあの子を追いかけないと。
急いで廊下へ駆けだして、前を行く黒髪の少女に声をかける。

「ねえ、君!」

振り返った少女は相変わらず落ち着いた表情を湛えていたが、その綺麗な瞳には驚愕と不安の色が見えていた。



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