恐山アンナ「私は、こんな自分が嫌いだ」麻倉葉「そんな哀しいこと、云うな」
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5:名無しNIPPER[sage saga]
2022/02/01(火) 23:36:21.01 ID:S3yuJCHMO
「わ、私、アンタに嫌われたら……」
「嫌わないよ」

強く私の手を握る葉の本音が伝わる。嘘偽りのない言葉。そんな人間と出会ったのは初めてだった。人の心は複雑だ。表面と深層はあべこべで天邪鬼。私のように。だから私は。

「私は、こんな自分が嫌いだ」
「そんな哀しいこと、云うな」

思わず流した涙を拭うように葉の頬が私の頬に触れる。そうするとまるで葉まで泣いているようで、胸が痛んだ。悲しくて、哀しい。

「なあ、アンナ。お前から見たらオイラはだらしなくて、やる気なさそうで、さぞ駄目な亭主になりそうで不安かもしれないけどよ」
「そんなことは……」
「それでも駄目なぶん、それでもいいって思ってくれたら嬉しいんよ。それはきっと、完全無欠な存在では味わえない喜びなんだよ」

葉は駄目じゃない。それでこそ葉だ。それでこそ私が愛した男だ。ああ、だからきっと。

「だからアンタは私を愛してくれるの?」
「あ、愛とか……そんな大層なもんじゃなくて、ただオイラはそんなアンナが可愛いと思ってるだけで、だからそのつまりだな……」
「つまり?」
「あ、愛してます……」

馬鹿な男だ。そんな葉を、私も愛している。


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