46:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 00:35:36.74 ID:XVB8s0iW0
  
  
 第一章 三位一体世界 
  
  
 1 『混沌』 
  
 その第三の世界は、 
 厳密には最終戦争の勃発前から存在していたが、 
 光側も闇側もまったく注意を払わなかった。 
  
 そこはいわば利用価値がない廃棄物の掃き溜めであった。 
 かつての原初『OMNE』墜落によって発生した崩壊の渦そのものであり、 
 原初世界群の残骸、砕けた無数の現実が溜まった混沌の海だった。 
  
 内部は現実が定まらない究極の混沌であり、 
 如何なる者、それこそ侵犯者であっても 
 己の存在を維持したまま深淵に到達することは不可能であった。 
  
 そしてその誰も近づけない深淵には、砕け落ちた原初OMNEの破片のうち 
 ジュベレウスとクイーンシバを形成しなかった残りの部分が沈んでいた。 
  
 それはこの二柱を足した分よりも大きく、 
 またかつての原初OMNEの中心核に相当する部分も含まれており、 
 もし二柱のように安定して意志が宿れば、 
 前者たちを超える存在となり得た。 
  
 だがこの破片たちはその力の大きさゆえに、 
 安定して意志が宿るようなことは永遠にないと思われていた。 
 固まりかけると崩壊を起こす、 
 そのようなことを繰りかえしていたためである。 
  
 しかしジュベレウスが敗北した直後、 
 その永遠に続くと思われた崩壊が停止する。 
 原因は不明だが、突如安定して第三の意志が宿ったのである。 
  
 彼はのちに『エーシル』と呼ばれた。 
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