6:名無しNIPPER[saga]
2022/06/29(水) 04:49:00.40 ID:5RrqZQj/0
 私の視線を避けるようにクロージャは、目をそらした。 
  
 「答えてもらう、クロージャ。私が、【テレジアを殺した】。君から見てそのときの私はどういう状態だったのだ?私は何のために、殺した?」 
  
 「言われても、わ、わたしも、よくわからなかったよ。現場にはいなくて後から聞いたから」 
  
 「私はケルシーから聞いた言葉ではなく、クロージャの考えを聞きたいんだ」 
  
 「私は、その、ドクターが」 
  
 ああ 
  
 「おかしくなってたと思ってた」 
  
 殺した理由もなくて 
  
 おかしくなって 
  
 殺した 
  
 「あれは戦争の後半に差し掛かった時で、ようやく攻勢に打って出るところだった」 
  
 「とある町が包囲されていて、そこにアスカロン率いる軍が襲撃するところだった。 
  
 今までのドクターの指示だったら、失敗なんてなかったのに、あのときだけは違った」 
  
 「一杯死んだよ。あの包囲作戦で生き延びたのはアスカロン含めて数人だけ。それ以来ドクターは、変わったようだった」 
  
 勝利を固執した 
  
 死んだ人々のために 
  
 彼らを見殺しにした自分のために 
  
 クロージャが去ったあとも、一つの考えが頭をもたげた。 
  
 私が途方もない失敗したら、今の私は狂わずにいられるのだろうか 
  
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