5:名無しNIPPER[saga]
2022/06/29(水) 04:48:05.69 ID:5RrqZQj/0
痛みはないが代わりにぞくりとした感覚が背筋を襲う。
そして、熱い吐息が肌にかかり、理性を麻痺させようとする。
私は空中に浮いていた手を何とか動かし、クロージャの身体を引きはがそうとするが
彼女の静かに上下する胸に触れて固まった。
首筋から垂れる血を舌で転がして嗅いで舐めて、その甘美で破滅的な味わいに彼女は激しく喘いだ。
「…君はこの姿を誰かに見られるのが、嫌いだったんだろう」
私が言うと、彼女は首から離れて、面と向かい囁いた。
「そうだよ、こんな前時代的な体質なんて、格好悪いから」
同族の血を吸う、サルカズ。
彼女たちがどういう扱いを受けて生きてきたかは、分からないが
決して容認されるものではなかった。
紅潮した頬と赤く濡れた唇、彼女はそれらを両手で隠して、私から離れた。
「今の、なしってことにはならない、よね」
「それで構わない。私も今後このようなことがないよう、気を付けよう」
過去の私がどうクロージャと接していたが、分からないがと前置きした上で
「君が、過去の自分を否定する必要はないとと思う」
「あはは、分かってたんだ」
「いや、単なる予想だ。それに私も同じようなところで悩んでいるところだ」
過去の私は、どのような存在だったのだ?
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