496: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/22(火) 12:14:55.33 ID:lNytOG/10
かすみさんがこちらに這いながら、寄ってきているところだった。
恐らくかすみさんも、目の前のポケモンの危険性には気付いている。
どうにか、逃げるんだ。
私も起き上がろうとした、そのとき、ふと──胸がドキドキと高鳴っていることに気付く。
しずく「……え?」
胸が高鳴っている。恐怖によるものではない。
気持ちが昂揚し、興奮しているときの、胸の高鳴り。
こちらに這って近付いてくる、かすみさんの先に──
「フェロ」
先ほどのポケモンが私たちを見下すように立っていた。
そのポケモンを見て、思った──思ってしまった。
しずく「──綺麗……」
よく見ると、そのポケモンは美しかった。今まで見た、どんなポケモンよりも。
私がさっき視線を外せなかったのは、恐ろしかったからじゃない。
あのポケモンが美しすぎて、目を離せなかったんだ。
そんなことに気付いて、
しずく「……あは、あははは……♪」
何故か、笑いが込み上げてきた。
かすみ「し、しず子……?」
しずく「すごい……すごい……!! あのポケモン綺麗……今まで見たどんなモノよりも美しいポケモンだよ……」
なんだか、うっとりとしてしまう。
かすみ「ちょっと、しず子、どうしちゃったの!?」
やっと、私のもとに辿り着いたかすみさんが、私の両肩を掴む。
しずく「あ、か、かすみさん……あのポケモンが見えないよ……!!」
かすみ「しず子!? 何言ってるの!?」
しずく「もっともっと、目に焼き付けないと……♪」
私の顔を覗き込むかすみさんを避けるように、あのポケモンを視界に入れる。
──噫、美しい……♪ その透き通るように白くて、スラっとした細長い体躯は木漏れ日を反射しながら、輝いている。
見ているだけで、心が洗われるようだ。こうして視界に入れているだけで、幸福感が胸を満たしていくのがわかる。
「スボォッ!!!」
そのとき、胸元で急にスボミーがボフンッ! と音を立てながら、花粉をまき散らした。
しずく「ぐ、げほげほ……っ……」
「スボ、スボボ!!!」
しずく「あ……あれ……私……今……?」
1002Res/2130.98 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20