812: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/08(木) 10:31:21.33 ID:S2FBcmzU0
  
 善子「嘘!? もう返事来た!?」 
  
  
 まさにそのナカガワ・菜々さんから返事だった。 
  
 今すぐにでも、話したいという旨と彼女の連絡先が書かれていた。 
  
 私はポケギアを引っ張り出し、すぐにその番号をプッシュした。 
  
 通話先の主は──ワンコールも掛からずに、電話に応じてくれた。 
  
  
  『……も、もしもし……』 
  
  
 ギアの向こうから、緊張気味な少女の声が聞こえてきた。 
  
  
 善子「ナカガワ・菜々さんね……?」 
  
 菜々『は、はい……ツシマ・善子博士ですか……?』 
  
  
 咄嗟に善子じゃなくてヨハネと言いそうになったけど、今はそれよりも大事な用件だから、言葉を呑み込む。 
  
  
 善子「ええ……! そのとおりよ、私がツシマ・善子よ」 
  
 菜々『よかった……ちゃんと繋がって……』 
  
 善子「それで……新人トレーナー募集の話なんだけど……」 
  
 菜々『は、はい……私、ポケモンと旅……ずっとしてみたくて……偶然、博士が新人トレーナーを探してるって話を聞いて……連絡してみたんです……』 
  
 善子「そうだったのね……」 
  
  
 ああ、私のやってきたことは無駄じゃなかった。 
  
 思わず涙ぐみそうになる。 
  
  
 菜々『あ、あの……もしかして……もう旅立ちの子、決まっちゃってたりとか……』 
  
 善子「ええ、決まってるわ」 
  
 菜々『え、あ……そんな……』 
  
 善子「貴方よ」 
  
 菜々『……え?』 
  
 善子「菜々。……貴方が、私のもとから旅立つことになる新人トレーナーよ……!」 
  
 菜々『……! はい!』 
  
  
 これが、私と菜々のファーストコンタクトだった。 
  
  
  
  
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