838: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/09(金) 12:43:20.31 ID:9oar5n900
  
 真姫「決して楽な道じゃない……。普通のトレーナーよりも何倍も、何十倍も大変な道になるかもしれない。……それでも、やりたいなら、やるべきよ。親に何を言われたんだとしても」 
  
 菜々「で、でも……」 
  
  
 ただ、菜々は困惑している。 
  
  
 菜々「お、お父さんが……ダメ……って……。……ダメ、だって……」 
  
 真姫「菜々。貴方の人生は貴方のモノよ」 
  
 菜々「……!」 
  
 真姫「貴方が決めなさい」 
  
  
 私は手を差し伸べる。 
  
  
 真姫「この手を掴むか……貴方が決めなさい。今ここで」 
  
 菜々「…………私……ポケモントレーナーになって……いいんですか……?」 
  
 真姫「それも全部、貴方が決めることよ」 
  
 菜々「…………」 
  
  
 菜々は私の言葉を聞いて、自分の手を胸の前にぎゅっと引き寄せる。 
  
 その手が、震えているのがわかった。 
  
 きっと彼女の中では今、たくさんの葛藤がぶつかり合っているに違いない。 
  
 不安、期待、恐怖、憧れ、悲哀、希望、後悔、いろんな感情がぶつかり合っているはずだ。 
  
 でも私は……この子はその感情の奔流に負けない子だと信じられた。 
  
 会って間もないけど、この子の好きは、ポケモンが、ポケモントレーナーが、ポケモンバトルが好きだという言葉は気持ちは──嘘じゃないと断言出来たから。 
  
  
 菜々「…………」 
  
  
 考えて、考えて、考えた菜々は震える手で── 
  
  
 菜々「……私は……ポケモントレーナーに……なりたい。……なります……!」 
  
  
 確かに、自分の意思で、意志で──私の手を握った。 
  
  
  
  
  
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 菜々「──い、今でも……胸がドキドキしてます……」 
  
 真姫「ふふ、頑張ったわね」 
  
  
 本当に勇気を振り絞って、私の手を取ったことは言うまでもない。 
  
 そんな彼女の最初の勇気を労って、頭が撫でてあげる。 
  
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