70: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/19(月) 00:38:44.35 ID:c3b0uZJF0
  
 歩夢「あ、あの……私に、ポケモンを手懐ける力なんてありません……」 
  
 愛「ま、自覚はないだろうね。でもね、歩夢にはポケモンを落ち着かせる特殊な雰囲気があるんだよ」 
  
 歩夢「雰……囲気……?」 
  
 愛「詳しい理由はわからないんだけど、極稀にそういう子供が生まれてくることがあるらしいんだよね。……ポケモンだけが持ってる特殊な電磁波を感知出来る第六感があるとか、特殊なフェロモンを持ってるとか、いろいろ説はあるんだけど……とにかく、ポケモンから好かれる特殊体質が歩夢にはあるってこと」 
  
 歩夢「……」 
  
  
 なんだか、突飛なことを言われて面食らってしまうけど……旅の中でも、似たようなことを人から指摘されたことが何度かあった。 
  
 エマさんや、ダイヤさんだ。私にはポケモンを想い、ポケモンに想われる力があるって……。 
  
  
 果林「ただ……匂いに関してはよくわからなかったわ」 
  
 姫乃「っ!? 果林さん、あの子の匂いを嗅いだんですかっ!?」 
  
 愛「人間にはわからないって、前にも言ったのにね」 
  
 姫乃「わ、私だって、そんなことしてもらったことないのに……!!」 
  
  
 姫乃と呼ばれていた子から、すごく睨みつけられてる……。 
  
 私のことを睨まれても困る……。 
  
  
  「ピュイ…」 
  
  
 それに……この子、どうすれば……。 
  
  
 果林「とりあえず、“STAR”──コスモッグは歩夢に預けておきましょうか」 
  
 歩夢「え?」 
  
 愛「いいん?」 
  
 果林「もうエネルギーは十分集めたからね。無理にエネルギーを吸ったら、彼方のコスモッグみたいに休眠して、コスモウムになっちゃいかねないし。歩夢の傍にいるとリラックス出来るなら、ガスの充填も早くなるだろうしね」 
  
 愛「ま、それもそっか」 
  
 歩夢「え、えっと……」 
  「ピュィ…」 
  
  
 何故か、私はこの子を預けられてしまった……。 
  
  
 愛「それはそーと、この後どうするん?」 
  
 果林「ウルトラディープシーに向かって頂戴」 
  
 愛「ん、りょーかい!」 
  
  
 愛ちゃんが頷きながら、キーボードをカタカタと操作すると──ゴウンゴウンと音を立てながら、動き出す。 
  
 宇宙船のようなもの……というか、宇宙船……なのかもしれない。 
  
  
 歩夢「じゃあ、ここは……宇宙……?」 
  
 愛「ちょっと違うかな。ここは──ウルトラスペースだよ」 
  
  
 私の疑問に愛ちゃんが答えてくれる。 
  
  
 歩夢「ウルトラスペース……?」 
  
 愛「そ。……まーひらたく言えば異世界ってところかな」 
  
 歩夢「い、異世界……?」 
  
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