佐々木「僕はキミに安心感を与える置物じゃない」キョン「そんなつもりは……」
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3:名無しNIPPER[sage saga]
2023/01/07(土) 22:53:18.62 ID:l/iL5hNWO
「それで? どうしたの」

ダウンやらマフラーやら手袋やらで着膨れした佐々木と帰路について間もなく訊ねられた俺は講義中に用意しておいた台詞を伝えた。

「あと少しで見納めだと思ってな」
「ああ……なるほど」

冬休みが終わったら高校受験が幕を開け、その後は登校頻度は落ちる。あれよあれよと卒業してしまえば、顔を合わせる機会も減る。

「まだ志望校の変更は間に合うと思うよ」
「人生で一度きりの高校生活が勉強漬けになるのは困る」
「一応、合格するつもりはあるようだね」

くつくつと喉の奥を鳴らし失笑する佐々木。
それくらい学力に差があることは自覚済み。
優秀な佐々木と同じ進路は俺には荷が重い。

「お前こそ志望校を変更する気はないのか」
「そうだね。それはとても魅力的なお誘いのように思えるけれどひとつ確認しておこう」

少し先を歩く佐々木の表情は伺い知れない。

「同じ高校に通ったとしてキミは何を望む」
「これと言って何も」
「つまりキミは現状維持を望んでるわけだ」

現状維持。言われてみればそうかも知れん。


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