剣聖が鍛冶屋を営むようです
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4:名無しNIPPER[saga]
2024/02/24(土) 17:59:15.23 ID:iDj+Sx/LO
プルガトルスと交戦したのは、目的地である商業都市【コンスティア】を目視できる渓流地帯だ。
溶岩が流れ、熱気が立ち込める灼熱を好むプルガトルスが、このような場所に移り住む話なぞ聞いたことがない。

まあ、なんにせよ。死人が出ずに済んでよかった。本当によかった。
安堵のため息を漏らし、ジュースを一息に飲み干した。
優しい甘さとシュワシュワした炭酸が心地よい、爽やかな味だ。

「…しかし、プルガトルスをこんなあっさりと、しかも単騎で仕留めるとは随分と腕が立つようで。さぞ名のある冒険者なのでしょうな」

否定はしない。諸々の功績を評価され、特例上位クラスに認定された側としては、自身が無名だと宣うことはできなかった。
上位クラス、A級冒険者はそれなりの数いるのだが、特例上位クラス、S級冒険者ともなるとそうはいかない。

一国に二人いるかどうか、という程度に稀有な存在だ。
救国の英雄と呼ばれるほどの傑物でなければ土俵に上がれないのだから、さもあらんと言ったところだが。

かく言う自分も、それだけの名声を持っていることは自覚している。
今に至るまでに多すぎる物を喪ったが、後悔はしていない。
あの時の自分では変えられない運命をいくら嘆こうが意味はないのだから当たり前だ。
それに、その過去があったから今があるのだ。
今の自分を誇りに思っている以上、喪失に苦しんだ凄絶な過去も捨ててはならない大切なものである。

さて。そんな会話をしている間に、偶然同じ馬車を利用していた魔法使いが水魔法と風魔法を巧みに操り、プルガトルスによってグズグズに融解していた道路を整備する。
魔法使いがもの凄く頑張ったので、死んだ道路が最低限の機能を取り戻した。

荷物の点検を終えた運転手は乗客を再度乗せ、馬車を動かす。
移動を再開したのを確認し、ステラは満足気に口笛を吹きプルガトルスの死体を牽引する。
ギルドに引き渡せば相応の金銭に換金される。退屈だった道中での暇潰しの成果としては上々と言えるだろう。
コンスティアでの活動資金はかなり蓄えているが、労せずして資金を増やせたのだからホクホク顔になるのも仕方のないことである。


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