剣聖が鍛冶屋を営むようです
1- 20
3:名無しNIPPER[saga]
2024/02/24(土) 17:58:39.50 ID:417Cx3zYO
そして、現代に至る。人魔が手を取り共に歩む時代。
悲恋に終わった王子らが何よりも求め、手に入れることができなかった安穏とした世界。
そこにヒトは生きている。

ドラゴンを一刀のもとに斬り伏せた青年は、臓腑に溜まった息をゆっくりと吐く。
そのまま刃にこびり付いた血を拭い、長剣を鞘に納める。
王都有数の職人が手掛けた一振りなだけあって手に馴染む素晴らしい逸品だと、心中で謝辞を述べた。

これをプレゼントしてくれたギルドの職員には感謝している。
愛用していたS5に比べると幾分と性能…というより適性が違うので最高のパフォーマンスは発揮できていないが、普段使いには問題ない。
寧ろ代替品として使うには充分なくらいだ。

使い物にならなくなったS5を見て、親父は何と思うのだろうか。
そこまでの激戦を生き延びたのか、と感慨深く思うのか。
それとも、武器を粗末に扱いやがって野郎ぶっ殺してやる、と地獄で中指を立てているのだろうか。
ふと物思いに耽るも、彼の心情を知る機会など全く無かったのでどう思っているのかさっぱり分からない。

そんな無駄な時間は、馬車の運転手の声で中断された。

「ありがとうございます旅の方。まさかこんな場所で煉獄竜と遭遇するとは…」

乗客と愛馬を連れて避難していた運転手は、戦闘が終わったのを把握し戻ってきた。
手には氷魔法で冷却されたジュースが握られている。
せめてもの礼なのだろう。ありがたく頂戴しておいた。

少し前に季節外れの大雪で、火山近辺が凍りついたと聞いている。おそらくはそれで棲家を追われた逸れなのだろう。
人里近くで【煉獄竜プルガトルス】が目撃されることは滅多にないことだ。異常気象により発生したイレギュラーと見るのが妥当なところだ。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
119Res/103.31 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice