74: ◆CItYBDS.l2[saga]
2024/04/18(木) 08:16:04.36 ID:TtxL8s290
  
 「ならぬ」 
  
  御屋形様の揺るぎない言葉に、私は諦念の息を吐いた。 
  足らぬのは戦士だけではなく、その武具の数にもあった。 
  館に備えてあった武具は、襲われた村々から流れてきた者たちに配られ既に底をついた。 
  そのため、この厨房にある刃物すら武器として供出するようお触れが出されたのだ。 
   
 「私は、これで魔物を切りたくない」 
  
 「ならば、誰かに渡せばよい」 
  
 「だけど、見知らぬ誰かにこれを渡したくないのです」 
  
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