24:名無しNIPPER[sage]
2024/09/18(水) 20:04:14.19 ID:iLatUWQm0
 果南は驚きを感じつつも、臭いのする方向へ脚を踏み出していた。それほど恐怖を感じなくなっている自分には気づいていないようだった。 
  
 歩を進める度に血の臭いはどんどん増していく。別の誰かである可能性も頭をよぎったが、確かめずにはいられなかった。 
  
  
 数分の後─果南の持つ懐中電灯の光が地面に倒れ伏したそれを暗闇の中に浮かび上がらせた。 
  
 「…………ダイヤ……?」 
  
 発した声が疑問形になったのは、それがダイヤである確信が持てなかったからだった。それほどまでにその人物の身体の傷は深く─ 
  
 「ダイヤっ!!」 
  
 果南はすぐさまその人物の傍らに膝をつき、顔を確認した。見知った顔だった。顔の半分ほどが赤黒い血に覆われていても、見間違えるはずがない。ダイヤだった。 
  
 果南がもう一度名前を呼ぶ前に、誰かを呼ぼうとするかのように、ぴくりとダイヤの口元が動いた。 
  
  
 生きてる──ダイヤは…まだ生きてる……! 
  
 果南は溢れ出しそうになった涙をぬぐい、言った。 
  
 「たすける……絶対助けるからっ!」 
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