3:名無しNIPPER
2025/07/31(木) 00:13:05.95 ID:DoK8Vme/0
ぽつりぽつりと降る雨に対抗するように、ほんのりと蛍光灯が照らす部屋。青く品のいい服を身にまとった少女がいた。
「橘ありす、12歳です」
そう名乗った少女のビジュアルは、誰が見てもアイドルに向いている。長い黒髪に、青くかわいらしいリボン。美しい立ち居振る舞い。かなり育ちがいいな、これは。
さらに言えば声も良い。聞き取りやすく、透き通った声は十分アイドル向きと言えるだろう。完成形はかの如月千早、といったところだろうか。よく言えば個性派揃いのうちのアイドルにとっては、いい刺激剤になる。一つだけ欠点があるが、それさえ何とかすれば事務所のエースになれるかもしれない。よし。
「合格」
「へ?」
「合格です。ようこそ728プロダクションへ」
「……え、あ、ありがとうございます……?」
口角を少しだけあげる。わたわたしながらも頭を下げた彼女の頬は緩んでいた。どうやらもう一つ欠点ー予想外のことに弱いというのがあったようだ。この点はレッスンなりで何とでもなる。
彼女は会場ーと言っても事務所の使ってない部屋だがーを戸惑ったように見渡して聞いた。綺麗な声が二人っきりの部屋で反響する。
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