31:名無しNIPPER
2025/07/31(木) 01:07:16.44 ID:DoK8Vme/0
Pさんの顔は無実の人間を死刑にする裁判官にも見えました。彼の肩に顔を埋めながら、誰にも気づかれないように笑みを浮かべます。
別に私は嘘をついたわけじゃありません。ただすこし説明が足りない、それだけです。あの人を見ているうちに、音楽に関わるのと同じぐらい人に関わりたいと思うようになったのは本当ですから。ただ。
彼は私の心の父親たろうとしました。がさつで、無茶振りをして、たまに怒って、その数倍褒めました。今思えば、きっとそれは彼なりの誠意だったんでしょう。嫌な思い出を残さないようにしつつ、私が事務所を離れるという決断を下しやすくするための。世の中の父親は娘に嫌われるものです。
でも彼は一つ大事なことを忘れていました。小学生という時期に魔法をかけてくれた人を、女の子はどう思うでしょうか?例えため息と流し目と嘘の涙にまみれていても、鬱陶しい父親のようであっても、その事実だけで十分でした。
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