12:名無しNIPPER
2026/02/22(日) 21:35:40.06 ID:g2DVH8wF0
ファミレスを出たあと、車で商店街まで来た。
駐車場に停めて、そこからは歩き。
友紀チャンはスマホを見ながら進んでいて、私はそれについていくだけだ。
しばらくして足を止めた友紀チャンが、ひとり言みたいに言った。
「このへんのはず……あ、あった。葵ちゃんに頼まれてる魚屋さん」
――魚屋。
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が少しだけ重くなる。
店の前に立っただけで、鼻に魚の匂いが届いた。
もう逃げ場はない。そう思いながら、仕方なく中に入る。
「いらっしゃい! 今日はいいの入ってるよ!」
声が大きい。
それと同時に、匂いも一段階強くなった気がする。
できれば長居はしたくない。早く出たい。それが正直な気持ちだ。
「今日のオススメは真鱈!」
「寒ブリもいいし、イワシも今は脂が乗ってるよ」
「時間あるなら三枚おろし、サービスしちゃうから!」
止まらない。
魚の名前が次々に出てくるけど、頭にはあまり入ってこない。
匂いのほうが気になって、それどころじゃない。
「へぇー」「おいしそうだね」と、友紀チャンは素直に相槌を打っている。
(……本当に楽しそう)
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