10:1[sage]
2010/05/30(日) 02:50:48.93 ID:1o/NXgko
(いくぞ)
使い魔に囁き、ダルクは音を立てないよう注意深く身を引いた。
引いたには引いたが、やはりすんなりとは立ち去れない。
女の子の裸体がどうにも気がかりでしょうがないのだ。
雄として生を受けた以上、これは抗えぬ本能だろう。
(せ、せっかくだから最後に一目――)
最後に一目と、泉へ目を向ける。
これが災いした。
(……?)
いつの間にか少女は胸元まで水につかっていた。
ダルクには、巨大な水滴を模した装飾を包む神秘的なリング――杖の先端を飾るリングが向けられていた。
女の子は片手で杖を持ち、もう片手で身を守るように肩を抱いていた。
ダルクはようやく、彼女がこちらに向けて杖を構えていることを知った。
目が合った。
敵意ある双眸。
(ま、まずいっ!)
不意に使い魔のディーが翼を耳元に叩きつけた。
こんなときにいきなり何なんだ。
しかし次の瞬間、それが主人の危険を知らせる警告だと知った。
(!!)
まるで無防備だった後頭部に、重い衝撃が走った。
(な……)
頭の中を鈍痛が響き回り、意識を混濁へいざなう。
何が起きて自分は倒れるのか。
それさえ察知する隙も与えられず、ダルクはうつ伏せに昏倒した――。
1002Res/501.68 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。