過去ログ - 闇霊使いダルク「恋人か……」
1- 20
28:1[sage]
2010/06/02(水) 18:04:09.05 ID:voI3GIoo

「まだちょっと休んでてね。もうすぐスープできるから」

 エリアは空になったカップを受け取ると、足取り軽く炊事場に戻っていった。
 スープ。その単語を聞いた途端、これまで身の内で潜んでいた空腹がダルクを襲った。
 そういえば外界に到着して、まだ一度も食事らしい食事も摂ってない。

「なぁ。いま何時くらいなんだ?」
「もうお昼だよ」
「お昼!? ってて……」

 もはや夜が過ぎていたことは、この部屋で目覚めた時から窓辺の光で分かっていた。
 しかしせいぜい明朝ぐらいだろうとタカをくくっていた。すでに昼とは参った。
 夜のうちにやりたかった作業がたくさんあったのに、全く初日からつまづいてしまったな……。

「そ、そうだ、ディーは!? アイツは明るいところ駄目なんだ!」
「大丈夫、ちゃんと暗がりで寝かせてあるよ。コウモリだもん、そのくらいの配慮はしてるよ」
「そ、そうか、よかった……ありがとな」
「どういたしまして」

 嬉しそうな響きの返礼が炊事場から聞こえた。
 ここにきて初めてダルクは思い至る。
 何から何まで面倒をみてくれるこの少女。
 言うまでもなく、自分とエリアはこれまでまったく面識のないアカの他人だ。
 しかもケガの報いを受けたとはいえ、言い逃れできないノゾキの現行犯ときた。

 そんな輩にベッドを貸し出し、治療を施し、使い魔の世話までみてくれて。
 ここまで親切にしてもらうのは、いくらなんでも帳尻が合わないのではないか……。

 やがてエリアがスープの乗った膳を運んできた。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/501.68 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice