45:1[sage]
2010/06/10(木) 00:12:25.15 ID:WgrV/bQo
帰る前にきちんとお礼を言いたかったけど、眠っているところを邪魔してはまずいな。
一筆書き置きしておこう。
「ちょ、ちょっと紙とペン借りるな」
よく整理整頓された部屋だったので、筆記道具はすぐに見つかった。
帰宅の旨と適当な謝辞、そして返礼の約束をしたためて……エリアの眠っているテーブルに添えておく。
「これでよし」
そこでふと、窓の外の日が沈みかけているのに気がついた。
じきに夕方も過ぎて夜になる。
昨晩外界に出た限りでは、夜の冷え込みは馬鹿にできない時分だった。
室内に暖房はなく、どことなくひんやりした空気が流れている気がする。
もしかしたら、こんなところで寝ているエリアを放置したら――。
(風邪引くかもな)
イスに座ってうつぶせに寝る姿勢もあまりよくない。
また、騒動が起きても全く気付かないほど熟睡している点から、自力で起きるのはずっと後になりそうだ。
(ベッドに移した方がいいかな……。…………)
女の子をすぐそこのベッドまで運ぶ。
それだけなら別に大したことないよな。
何気ない風を装い、軽い気持ちでエリアを見下ろす。
何も知らない可愛い寝顔。
泉で生身を目に焼き付けた、華奢な身体。
スカートから伸びている、あわよくば誘っていると誤認しそうな白の生足。
「……」
ダルクは石のように固まり、立ち尽くした。
心臓の音だけが早鐘のように高鳴っていった。
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