54:1[sage]
2010/06/11(金) 16:38:06.27 ID:mxlagMco
「誰だっ」
叫ぶというより、強く囁くといった感じで呼びかけた。
じわじわとパニックになりそうな自分を抑えつけるように。
似たような状況を昨日体験した。
泉で水浴びをしていたエリアと遭遇した場面だ。
その時はエリアの方が自分の正体をつかめずにいたが、今度は逆。
立場的にいえばこちらが不利だ。
こういう時、なにより冷静さを失ってはいけない。
最善と思われる対処を迅速にこなす。
事によればそれが自分の生存率を上げることに繋がる。
なぜ屋根の上に?
影の目的は?
自分に危害を及ぼすものか?
家に損害を与えるつもりか?
そうした判断は――まず、この影の素性を明かしてからの話だ。
ダルクは数瞬で行動する。
(いくら闇に紛れようとも無駄だ)
ダルクは杖を構えたまま、自らを闇に預けた。
ダルクの輪郭がうっすらぼけ、黒紫のエネルギーが五体を覆う。
暗闇と少しだけ身体を共有することで、夜目をさらに効かせたのだ。
(さぁ、正体を見せてみろ……)
じりりと足を開き、杖を握る手に力を込める。
肩に止まったディーも身構え、ダルクの合図でいつでも飛びだせる格好だ。
(……人影?)
まっさきにダルクの視界に飛び込んだものは。
これミニスカートじゃ。
しかも角度的にこれ。
「……んー……」
緊迫した場にまるでそぐわない、なんとも眠たそうな喉声が耳に入った。
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