過去ログ - 闇霊使いダルク「恋人か……」
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732:【3/4】[sage saga]
2011/10/11(火) 16:25:01.87 ID:Yiee1teyo

 その直後だった。

『姐さん、姐さん!』 

 突如として、出入り口の外から何者かの声が響いた。
 同時に、ノックというよりは、何かを引っかくような音がカリカリ鳴り始める。

 ダルクは誰かが来たと知って驚いたが、もっと意表を突かれたのはアウスの動きだった。
 彼女は今まで見たことがないような凄まじいスピードで机から飛び出すと、猛然と出入り口の扉へ飛びついた。

「すみませんが少し待っててくれませんか」
「えっ、あっ、ああ」
『あーねーさーん!』

 アウスは杖を手に取ると、すばやく施錠の結界を解き、出入り口を開けた。
 一瞬でその隙間に身体を潜り込ませると、まるで悪霊死霊の侵入を防ぐような勢いでバタンと扉を閉めた。

「な……何が起きたんだ」

 後に残されたダルクは、あっという間の展開に呆然とするしかなかった。



 扉の外に出たアウスを待ち受けていたのは、言うまでもなくアウスの使い魔だった。
 ずんぐり体型の小さなビーバーに、ユニコーンのような一本角と、悪魔のような一対の翼をつけたモンスター。
 彼は主と対面すると、大いにはしゃいだ。

「姐さん!」
「静かに、アーチフィンド。まだ眠っている者もいるのですよ」
「ごめんなせぇ!」

 ため息をつく余裕はない。
 とにかくアウスは、すぐそこの屋根裏部屋が気が気でならなかった。

「用件を手短に」
「ええっと、さっき上のヒトが部屋に来まして。今日は当番だった婆さんの容態が悪いそうで」
「大婆様が?」
「それで、夕方あたりから代わりに入ってくれないかということで……」

 今日の予定では、夕方あたりに起きたダルクと町めぐりをするはずだった。
 アウスはきっぱりと即答した。

「他のヒトに回してもらいましょう。今日は先約があります」
「で、でもですね。あの担当いわく、この伝言を伝えれば快諾するだろう、って」
「伝言?」
「はい。『応援はするがほどほどに』、と」
「えっ?」

 それを聞いてみるみるうちに顔を赤らめるアウス。
 ばれているのはまだしも、とんだ誤解をしている。
 周囲に広まるのは非常にまずい――想像を絶する脅迫ネタを与えてしまった!

「……分かりました。指示通りにしましょう」
「何があったんですかい? 応援するって何を?」
「アーチフィンド」
「はい?」
「断食三日間と幽閉七日間、選ばせてあげましょう」
「なんで!? 勘弁してくだせえっ!!」



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