過去ログ - 一方通行「打ち止めが高校に入学すンだが……」
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260:101[sage]
2011/03/06(日) 20:37:46.63 ID:6SZSTCDk0



 買ってきたスポーツドリンクを少し薄めて飲ませると、これまた買ってきた冷却シートを額にのせる。吐いてしまいそうになったときのために洗面器を用意し、ついでにタオルとウェットティッシュもベッドのすぐ脇に整えた。
 そして熱を測らせる。ピピ、となった体温計の目盛りは39度2分を表示していた。一方通行の眉間に皺が寄る。先ほど身体をサーチした限り、彼女用に常備してある解熱剤と抗生物質、調整剤でなんとかなりそうだが、熱が引かないようならば病院に運ばなければいけない。

「物は食えそォか?」

「いらない」

「とりあえず昼まで寝てろ。昼飯食ったら薬飲ますからな。文句言ったら注射打つ」

 もそもそと、億劫そうに打ち止めは首肯した。それを認めて、一方通行は病人を寝かせようと踵を返す。が、しかし。

「…やだ」

「何がだ」

「いっちゃやだ、ここにいて、ってミサカはミサカはワガママを言ってみる」

「……」

 覇気のない声、熱に倦んだ瞳、へにょりと萎れたアホ毛。弱っていると人間は心細くなってしまうらしい――と言うのは、彼自身が能力を十全に使うことが出来なくなった六年前に学ばさせられたことの一つだった。
 その場にいて何が出来るというわけでもないし、ともすれば眠りに落ちるのに邪魔になってしまいそうな気がするが、弱っているときに傍に気の知れた人の気配がする、という状況は、存外安心してしまうものだということを、彼はこの少女によって教えられてしまっている。
 小さく舌打ちして、一方通行は打ち止めの頬を軽く摘む。

「机と椅子貸せよ、クソガキ」 

 病人はふにゃりとした笑顔を浮かべる。苦しいくせに笑顔を浮かべられる彼女に対し、一方通行は眩しいものをみるように目を細めた。



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