過去ログ - 一方通行「打ち止めが高校に入学すンだが……」
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730:101[sage]
2012/06/10(日) 22:38:16.33 ID:jSNl8Mer0

 ――どうしてそういう行動をとってしまったのかは解らない。
 

「どうしたの? ってミサカはミサカはびっくりしてみる」

 次に認識したのは、腕を強く掴まれて驚いた様子の少女の姿。当然掴んでいるのは自分自身。床にはぐしゃりと布団が落ちていた。

「どうしたの?」

 再び問う彼女を前にして、妙に気まずい気分になった。どうしたか、など自分が知りたい。固まる指先を引きはがすと、落ちた布団を拾い上げて潜り込んだ。そして彼女に背を向け、強引に瞼を閉じる。
 問いかける声も、揺する手も無視して、布団に丸まっていると、立ち去る気配がした。行ってしまったのだろうかと思えば、やはりどこか寂しい。

 と。

「お邪魔しまーす、ってミサカはミサカは許可を取る前に潜り込んでみたりっ」

 がばっと布団が剥がされた直後、背中に温い気配が張り付いた。暫くもぞもぞと動いて据わりの良い場所を見つけると、腕を回して動かなくなる。
 何だよ、と訊く不機嫌な声を作ることは、今は出来ない。引きはがす気が起きないのは、疲れているからということにしておいた。事実、何かがゆるりと弛緩したのはその通りなのだから。
 
「あなたってばけっこう寂しんぼさんね、ってミサカはミサカはズバッと事実を指摘してみる」

 うるせェと否定の言葉を紡ごうとしても、抱き寄せた腕の中にいる相手にはきっと効果がないだろう。寧ろ本日は言い返せないことを理由に、負けを認めてしまうべきなのか。
 たまには素直になったやろうかと、微熱混じりの頭が空転する。その頭を撫でるのは、温かな手のひら。
 おやすみなさいと寝かしつけられて、見る夢はきっと優しい。



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