839:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/28(金) 06:33:28.08 ID:HWZ192fXP
たった一人の登場で、その場に居た魔術師の群が壊滅を始めた
それは当然、ワシリーサの高性能さがもたらした結果だが、もう一つの要素として、ここがロシア成教の主要な寺院であることも影響している
つまり、唯でさえ不死身に近い恐ろしい魔術師という存在であるのにもかかわらず、より強化された彼女をローマの魔術師たちは相手に無ければならなかった
ロシア成教の総大主教を殺害する、という最大の難度を誇る任務を用意された彼らは当然、その辺りの魔術師とは一線を画した存在であったのだが、不死身と思わしき者を相手にする手段など持っていない
完全に復活したワシリーサが一歩一歩、金の装飾が施された建物の入り口に近づいて行くが、その時には既に、彼らの中にそれを止めることが出来る人間など居なかった
爆発の衝撃によっても少しも変形しない高度な防御力を誇る建物の入り口に、彼女が手を触れると扉が自然に開き、総大主教と呼ばれる少年が階段に腰掛けて、弱弱しくワシリーサを見ている
「私を殺しに来たか」
総大主教の少年が、彼女を睨みもしないで見ている。受け入れの境地という奴だろう
ワシ「冗談。その逆よん。ここにはもう本来の機能を果たすほどの防衛能力は無いから、行きましょう」
「行くとは、何処にだ?」
ワシ「決まっているのよん。総大主教がモスクワの主教座に居なくてどうするの。あなたはまだやることが残っているのだから」
「……総大主教として、信者を導けというのか、この、自らの身も守れずこのような堅牢に押し込められるままの私に」
ワシ「悲観になっては駄目。可愛いから私は許すけど、信者にはあなたしかいなんだから」
その少年を、覗き込むように彼女は言った。可愛いもの好きの彼女の、彼を見る視線にはなにか邪な物まで含まれている様な感が有るが
「そう、だな」
と彼は頷くしかなかった。その半分気落ちして、でも何か使命感に引っ張られている様なものが混じり合った表情が彼女の趣向の心を捉え、思わず鼻血を引き起こした
ワシ「スンスン……早くモスクワに戻らないと、本当にローマの馬鹿共の思い通りになってしまうわ」
と鼻血をすすりながら、彼女は応えた
1002Res/1215.83 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。