871:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/07(月) 08:12:41.90 ID:MkIBRDJ+P
郭「蒼い、馬?」
隠れ家にあいている穴から半蔵が走り去った方向を見ていた女の視界で、突然蒼白い光が爆発し、一区画が消え去った
そして、衝撃の塊と化した風が、隠れ家の角に空いた大きな穴にぶつかって、まるで何かこの世のものではない生き物の唸り声のような音を上げる
異様な雰囲気の中、彼女はその大穴から空を見上げて、言葉を漏らしたのだった
その言葉を聞いて、海原はソファと壁に体重を預けながら移動し、そばに有った窓から外を見る
海原「馬、いや、人が乗っている? あれは、…… まさか」
彼らが見る中、その"蒼ざめた馬"に乗っている人型の何かは、鎌のような物を地面に地表へ向けて撫でるように振った
たったそれだけのことで、振った軌跡に沿った、蒼白いエネルギーの塊としか形容できない様な蒼白い曲線の光が、地面へ向かって伸びる
同時、逆に地面から白く光る翼を備えた複数の人型が、しかしその大きさは全く蒼ざめた馬とは比較にならないほど小さい存在だが、その曲線に向かって光の翼を拡大させながら高速で向かってゆく
光の翼を拡大するにつれて、その中央の人型の表面に青い稲妻が瞬きだし、蒼白い曲光と白い翼達が交差するころには、人型のフレームは稲妻の光しか確認できなくなった
互いに絡まって水平方向に拡がる壁となった白く光る翼と、鎌から発せられた蒼白い曲光が、自然発生する雷鳴の比ではないような轟音を作りながら激突した瞬間、天から放たれた蒼白いエネルギーはその向きを白光の壁に沿わせ、水平方向へ拡散していった
衝突の後、蒼白い光を受け止めた白い翼を展開していた人型の姿は、見当たらなくなってしまった
上空の大気に、拡散した衝撃が当ったことによって、一部の空気が地面へ叩きつけられる
それによって、酷い突風が巻き起こり、先日の紛争によって生じた瓦礫などが舞う埃の様に巻き上がり、建築物に当ってそこらかしこから物がぶつかり合う音が鳴った
突風が海原たちが身を置いている隠れ家の大穴に入り込み、今度は音だけでなく空気の乱流が部屋の中を荒らしだす
海原と郭は本能的に頭を守るべく腕を挙げて身を屈め、その乱流に耐えようとした
その行動で、当然、彼らの視界は狭まる
部屋をかき乱す乱流が、郭の近くに立っている本棚を揺らし、今にも倒れんばかりに動きだす
海原「郭さん!!」
まともに瞼を開けないその状況で、偶々その光景が視界に入っていた海原は、足の怪我など忘れたが如く、反射的に全身を動かし、彼女を庇う様に押し倒す
空気の乱れが穏やかになって、女が目を開いた時には、目の前に頭から血を流しながらも笑う男の顔が有った
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