974:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/03/06(日) 06:15:17.78 ID:vvOyZR7QP
初春「あ、う……ぅぁああぁぁぁ…………」
言葉が話せなかったわけではない。第一学区で何が起きたのかを思い出し、恐怖が蘇ったのだ
表情が引きつりだしたのを見て、蛙の医者はしまったと思った
少女が持っていたタオルと衣類が、震える手からこぼれて装置の中に落ちる
彼女の両の手は、そのまま無意識に覆う様に顔を抑えた
少女の体はガタガタと震えていて、薄暗い部屋の中でもハッキリわかるほどに色の無い顔をしていた
医師は横に長い水槽の様な装置の中に落ちた服を拾い、拡げて彼女の体に優しくかける
グニッ、と、彼女の手は違和感のある触感を感じた
その違和感の原因は、皮膚の定着が少しずれたこともあるが、それだけではない
根本的に、顔そのものが、いつもの感覚ではないのだ。思っていなかった所にニキビが出来たかのような意外性を、手が触れた顔の殆ど全てのところから感じた
顔から手を離して、彼女はその手の平を、体を見た
違う
手、腕、肩、つま先、脛、脹脛、腰、胸
長さが、形が、皮膚の色が、毛の生え具合が異なる。私の胸はこんなに大きくなかったハズだ
ゾワゾワゾワッ、と体の中を言いようのない恐怖が突き抜けていく
蛙「……これでも最大限、本来の君に近づけたんだがね」
初春「え?」
カエル面の医師が、初春が何を考えているのか読み取って声を出す
蛙「君の体は、というより君の遺伝子そのものは、どうしようもなく壊れていて、死ぬしか無かったんだ。君をあそこから助け出した白井君も、君ほどではないとは言え、酷いものだった」
初春「……何が、第一学区で何が起きたんですか?」
蛙「何があったかは、具体的には知らない。でも、重度の放射線被曝をもたらすようなことが、あの日の第一学区であったとだけは言えるね。そして」
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