424:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/27(木) 16:34:01.38 ID:yzZtb6Ov0
ホワイトベース 格納庫
シノン「シノさん、本当に大丈夫なんですか?」
待機中の戦艦ほど艦長にとって暇なものはない。
今日に至るまでの多忙さを失って代わりに手に入った余暇を使って艦内を直接見回っているところに、哨戒任務に出るDチームに出くわした。
シノ「はい、行けます。待機中とはいえ、機体にも乗れないのではしょうがないですから」
スズ「私もついていますから、何かあればすぐに戻らせます」
シノン「わかったわ。くれぐれも無理はしないでね」
シノ「了解です」
ぴりっとした敬礼からは精神的な脆弱は消え失せていた。
若くして最新鋭戦艦の艦長となったシノンの目にその通りに見えたのは仕方ないことである。
要するに、大きな間違いだったということだ。
シノ「システム良好。エンジン始動――天草シノ、ドラグナー1型、出ます!」
ドシュゥーッ! カタパルトから白い尾を引いて触覚のような二本のアンテナの機甲兵が射出される。
シノ「――ッ!」
だが、空に出た彼女の視界は一瞬で歪んだ。
まるでスプーンでかき混ぜたコーヒーにクリームを入れたみたいに空の青と雲の白、明滅する計器が渦になって溶け合い、シノの方へ向かってくるのだ。
シノ「うあぁ……! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
次にシノが幻視したのはあの青龍刀の新型である。
夢で何度も味わった絶望感が現実の感覚としてシノに襲い掛かってくる。
伊藤カイジが急所々々で兵藤和尊の顔を錯覚するものと同じなのだ。
だが、シノが見ているそれは王の警告ではなく、全身を恐怖で支配する毒蛇の呪いである。
スズ「会長!?」
スズの声が届く暇もなく、ドラグナー1型はバーニアを最大パワーで噴かしてホワイトベースから離れて空の霞に消えていった。
シノン「そんな……」
スズ「い、急いで捜索に当たります!」
暴風に巻かれてへたり込んでしまったシノンの横でD−3が発進していく。
873Res/1196.01 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。