過去ログ - 唯「まじーん、ごー!」
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593:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga ]
2011/02/23(水) 17:10:43.59 ID:dusS23yA0

ドルチェノフ『ならばよろしい。期待しているぞ、プラート少佐』

 モニターがブラックアウトした。ハルヒは卓を思いっきり蹴りつける。

ハルヒ「ドルチェノフの屑ごときに!」

 ハルヒは技術の名門プラート家に生まれたが、その出自に似合わない大胆な性格で地球連邦のスペースコロニーに対する傲慢な態度に反発したメサイア・ギルトールの下につき、専用のカスタム機ファルゲン・マッフを駆り独立戦争で戦果を挙げたが、思わぬところで世界は転がってしまった。

 ハルヒの父親でありギガノス帝国の技術者としてメタルアーマー開発の第一人者のラング・プラートが、突如D兵器の前身であるD計画の開始直前にあらゆるデータを廃棄して連邦軍に亡命したのだ。
 結果、ギガノス軍の兵器開発は停滞してしまっている。そのためにギガノス軍は総力をあげてラング・プラートの身柄の確保、もしくは連邦で開発されたD兵器の奪還を行っていた。

 ドルチェノフは連邦軍に個人的な私怨を持ち、ギガノス軍の中でも特に過激な思想を持つ男で、ラング・プラートが逃亡した直後にハルヒの反逆を懸念して友人と見られる朝比奈みくるを軟禁して逆に私兵化していた。

ハルヒ「今、ドルチェノフを誅することはできない……その上、このままD兵器奪還が遅れれば、マスドライバーの使用を強行されてしまう」

 ギルトール元帥の信頼篤く、軍内のエースとしてカリスマ性もあるハルヒがD兵器奪還のために月から離れ、尚且つ任務に失敗し続けることにドルチェノフは跳梁跋扈して軍制改革を図っているだろう。
 その狙いは、地球上に直接打撃を与えることが出来るマスドライバーキャノンの使用だ。

 メサイア・ギルトールは元々、スペースノイドを蔑視する連邦への杭打ちのつもりで決起したため、全面攻撃による連邦潰滅は望んではいない。
 国力差を埋めるためと牽制の目的でマスドライバーを有しているだけに過ぎない。
 その理想は、あくまでも地球環境の保護と、それを貪る連邦政府の腐敗部分の払拭なのだ。

 しかし、ドルチェノフは違った。彼は己の私怨のために連邦に勝利することを望んでいる。
 マスドライバーキャノンを使用すれば戦争を有利に進めることができる。そのためにハルヒの存在はじゃまだったのだ。
 ラング・プラートの逃亡から瞬時に朝比奈みくるを軟禁してハルヒを私兵化した狡猾さは、ギガノスの思想とはかけ離れたものだとハルヒは確信した。

ハルヒ「早くD兵器を取り戻さないと、ギルトール小父と私の理想が……」

 ハルヒは部屋を出た。そこにはキョン、古泉、長門が待っていた。

キョン「ハルヒ、ドルチェノフが何だって?」

ハルヒ「いつも同じよ、さっさとD兵器を捕らえろって」

古泉「D兵器を搭載した戦艦ホワイトベースは上海から連邦軍に合流したようです。新型パーソナルトルーパーも含めて、近いうちに作戦が展開されるでしょう」

ハルヒ「だったら先に仕掛けるわ。機動兵器の数ならまだ私たちのほうが多いから少しでも戦力を削ぐわよ」

キョン「しかし、もう何十日も働きづめじゃないか、ハルヒ! いくらお前でもぶっ倒れちまうぞ」

ハルヒ「私には! 一秒たりとも止めていられる時間なんてないのよ!」

キョン「だがな――」

ハルヒ「黙りなさい!」

 ぴしゃりと一喝したハルヒの眼差しは正面に立つキョンを捉えてはいなかった。
 もちろん、その後ろにいる古泉でも長門でもなかった。

ハルヒ「一刻も早くD兵器を倒して、みくるちゃんをあの外道から取り戻さなくちゃいけないのよ! 休んでも休まらないわよ!」

キョン「ハルヒ……」

 突き飛ばすようにしてハルヒはキョンの横を通り抜けた。
 あっという間にその後姿は小さくなるが、それ以上に疲労のオーラが見えていた。
 キョンのやや下に長門が進んできた。彼女はキョンを見上げている。

長門「彼女は出撃を取り消さない。なら、早いほうがいい」

キョン「長門……」

古泉「幸い、戦局は実際に我々に有利です。後は涼宮さんの負担を僕たちのサポートで減らすことです」

キョン「あぁ、わかったよ……」

 古泉と長門は急ぎ足でハルヒの後を追っていった。キョンは己の無能を呪った。



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