過去ログ - 唯「まじーん、ごー!」
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707:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga ]
2011/03/08(火) 18:13:14.70 ID:odrAhK6G0

 夜を待ってアリーヌの小隊へ夕映は出て行った。

アリーヌ「どうしたんだい、こんな夜中に。女の一人歩きは危ないよ」

夕映「こ、こんばんはです。アリーヌさん」

 不意に空から声をかけられて見上げると、アリーヌ・ネイズンがガンタンクの頭部から顔を覗かせていた。

アリーヌ「アタシに何か用かい?」

夕映「と、特に用というワケではないですが、気になったので」

アリーヌ「えぇ? 聞こえないよ、上ってきなよ」

 彼女は自分の座っているガンタンクの頭部を叩いた。降りてくる気はないらしい。

アリーヌ「そう、そこだよ。そこ上ったら右手にちょっと行くと梯子があるだろ」

 指示通りに夕映はガンタンクのツギハギのような装甲板を上っていく。

アリーヌ「見てごらん、あそこがジオンの司令部だよ。何て言ったかな……マ・ヌケだったっけ?」

夕映「マ・クベですよ」

 全高13.7メートルのガンタンクから見渡す世界はゲットマシンのガラスごしに見る世界とはまるで違って見えた。

夕映「それで、昼間のことなんですが……」

アリーヌ「このガンタンクは全高13.7、全幅10.9の半人型と突撃砲形態への変形が可能なモビルスーツでね」

夕映「えっ……?」

アリーヌ「見ての通り、ガンダムとかジムみたいなモビルスーツとはまるで違う。それは、この機体が開発段階で一度計画から抹消されちまったからさ」

 夕映が呆然とアリーヌの横顔を見ている間にも、彼女は夜空を見上げたまま続けた。

アリーヌ「連邦の新兵器開発計画にはじめ、ガンダム、ガンタンク、ガンキャノンの三つのモビルスーツが作られる予定だった。それが、ギガノスのメタルアーマー開発者が亡命してきたってんで、砲撃と支援のモビルスーツは試験機を一つ作ってお蔵入りになったのさ」

夕映「それが、どうしてここに……?」

アリーヌ「一人の技術中尉が喰らいついたのさ。この機体の開発は絶対に連邦軍の技術継承に必要だからってね。そして、当初の計画通りとはいかないまでも、この三機が完成した」

夕映「それじゃあ、その人がいなかったら、アリーヌさんはこの機体には乗っていなかったんですね」

アリーヌ「あぁ、こんな忌々しいものに乗らなくて済んだんだよ」

夕映「えっ?」

 けっ、とアリーヌは舌打ちをした。夕映が引き気味になっていると、彼女は呪詛のように呟いた。

アリーヌ「こいつを作った奴はその情報と丸ごと持ってジオンに寝返ったんだよ。この機体は即封印され、一緒にいたアタシは軍法で終身刑、ありがたくも戦時特別手当で仮釈放されてこいつに乗せられる羽目になった。この呪いの機体と一緒にね」

夕映「それじゃあ、あなたが最後と言ったのは……」

アリーヌ「ここに奴がいるのさ。アタシたちを売ったクライド・ベタニーがね」

 復讐。アリーヌ・ネイズンを戦争にたたせるシンプルな理由に、夕映は言葉をみつけることができなかった。



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