651:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/12(土) 01:17:28.34 ID:1/mKrnEAO
『不幸になるのが怖いから』
その子は言った。
隠したかった想いが見透かされたのが怖かった。
だけどそんな気持ちを包んでくれるように誰かが私を抱き締めた。
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2011/02/12(土) 01:18:01.96 ID:1/mKrnEAO
『どうしてもどうしようもない現実にぶつかったんなら、そん時は私が何とかしてやる』
「……うん」
身体が軽い。
653:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/12(土) 01:18:32.03 ID:1/mKrnEAO
唯「何で──っ!?」
悲痛の叫びは広い部屋の中で木霊した。
楔に身を縛られた自分と地に伏せた仲間達、その間にある隔たりは唯の心を狂わせようとする。
654:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/12(土) 01:19:00.61 ID:1/mKrnEAO
だがそれは初期段階の話。
エデン・システム完成を目前としていちごはエネルギー不足に頭を悩ませた。
精神の歪みから抽出出来るエネルギーは脆弱なもので、精々タナトスを起動させるのが関の山だったのだ。
博打に出たいちごは唯をエデン・システムに一番近いところで殺した。
そして死んだ肉体を強制的に蘇生させ、仮死状態に止めたのだ。
655:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/12(土) 01:19:29.81 ID:1/mKrnEAO
唯「こんなの……やだよぅ……っ!」
目の前で倒れている仲間の元に駆け付ける事も出来ない。
胸に穿たれた楔が恨めしい。
涙目で楔を見つめると意を決したのか、唯は遂にそれに手をかけた。
656:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/12(土) 01:20:00.89 ID:1/mKrnEAO
龍の力は未だ解明されていない部分が多々ある。
その解析が終わるまでは唯を死なせるわけにはいかない。
いちご「……止めて」
657:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/12(土) 01:20:28.53 ID:1/mKrnEAO
考えろ、思考を止めるな、使える知恵は全て駆使しろ。
そんな自己暗示は虚しく、唯の楔は着々と緩んでゆく。鮮血を垂れ流しながら。
唯「────っ」
658:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/12(土) 01:20:57.32 ID:1/mKrnEAO
唯の動きが停止したのを確認するといちごは安堵の溜め息を吐き、一瞬だけ唯から目を逸した。彼女の口元が何故か緩んでいる事にも気付けずに。
「ありゃま、こいつぁひでぇや」
いちご「──っ!?」
659:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/12(土) 01:21:39.19 ID:1/mKrnEAO
いちご「あなた……一体……」
唯「誰なんですか、何て言わせねーぜ? お前が私を欲しがったように、私もお前に会いたかったんだからな」
彼女は素足のまま血溜まりを通り、律達が倒れている箇所の丁度中心部分に立ち尽くした。
660:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/12(土) 01:22:17.60 ID:1/mKrnEAO
いちご「彼女の周囲に一億の槍を展開、軌道は追尾、対象の命尽きるまで追いなさい!」
言霊と共に現れる未元物質の槍、その数は一億。
鉄が彼女の視界を覆った。
661:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/12(土) 01:22:50.86 ID:1/mKrnEAO
彼女は血に塗れた手で頭を掻く。
そして何か思い出したように両手を合わせるとあはっ、と笑ってみせた。
唯「うんたんパワー注入! なーんつって」
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