732:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:25:57.67 ID:oz+HebRAO
いちご「……退いて。あなた如きが介入していい場じゃないの」
不機嫌そうに舌打ちをしつついちごは切られた両腕を再生させた。
コンマ一秒にも満たない僅かな瞬き、その間に澪の姿はいちごの視界から消える。
733:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:26:33.04 ID:oz+HebRAO
澪「脆いな」
刀を真一文字に薙ぐ。
無数の斬撃、全次元を断つ光の刃が飛び交った。
734:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:27:06.11 ID:oz+HebRAO
いちご「なに……これ……」
解らないものなど一つも無かった。
だが今はその逆、自分は何一つ知らない矮小な『人間』だという事を痛感する。
瞬く間にもぎ取られた両手、右脚、それらを再生するといちごは崩れるようにしゃがみ込んだ。
735:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:27:41.64 ID:oz+HebRAO
唯「頑張れ澪ちゃんっ!」
今は無力である彼女は一縷の希望を託して澪に声援を贈った。
それは人外たる彼女にはあまりにも不釣り合いな、人情に溢れる言葉だった。
736:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:28:21.37 ID:oz+HebRAO
澪「なに?」
いちごの胸に刃を突き立て、ぐりぐりと内臓と肉を抉りつつ澪は答えた。
痛みは無い。だが全身を刺す恐怖にいちごは嗚咽を漏らす。
737:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:28:53.77 ID:oz+HebRAO
滑らかにいちごの首を跳ね、宙に浮いた生首が床に着く前に三等分に裂く。
互いが無傷であるにも関わらず、辺りに散らばった赤黒い肉片は血腥い香りを漂わせていた。
いちご「もう悪い事はしないから……。もう止めて、あの怖いのは出さないで……!」
738:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:29:27.09 ID:oz+HebRAO
澪が下した条件にいちごは何度も首を縦に振った。
澪の足に縋りつき、生まれたての小鹿のように震えるいちごに最早一片の悪意など残っていなかった。
澪「よし、じゃあ刑の執行だ」
739:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:30:00.51 ID:oz+HebRAO
いちご「もう止めて! もうやめてよぉっ! もう怖いの見せないで!!」
絡み付く腕を振り払うも身体は徐々に裂け目に飲まれてゆく。
澪「そんな身体なら死にはしないよ。約束しただろ? 殺しはしないって」
740:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:30:41.05 ID:oz+HebRAO
澪「良かったじゃないか。次元の狭間に居る限りたとえこの星が滅んでも生き残れるよ。まぁ羨ましくはないけどさ」
頬を伝ういちごの涙を拭い、耳元で囁く。
冗談じゃない。永遠の苦しみなんか望んでない。
心の中でそう毒づき、いちごは澪の腕を掴んで必死に堪える。
741:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:31:18.23 ID:oz+HebRAO
抜き身の刀をそっと振るい、自分の腕を掴むいちごの手を切断した。
いちごは黒い腕の力に抗えずにみるみるうちに引き摺られてゆく。
澪「甘いよ」
742:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:31:47.85 ID:oz+HebRAO
黒の中から伸びた白い手、今にも霞んで消えてしまいそうなそれに何かが飛び付いた。
澪「唯──っ!?」
救うべき者が自分が生み出した闇に躊躇なく飛び込んでいった。
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