過去ログ - 唯「ボディがお留守だよ!」
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734:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:27:06.11 ID:oz+HebRAO
いちご「なに……これ……」

 解らないものなど一つも無かった。
だが今はその逆、自分は何一つ知らない矮小な『人間』だという事を痛感する。
瞬く間にもぎ取られた両手、右脚、それらを再生するといちごは崩れるようにしゃがみ込んだ。
以下略



735:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:27:41.64 ID:oz+HebRAO
唯「頑張れ澪ちゃんっ!」

 今は無力である彼女は一縷の希望を託して澪に声援を贈った。
それは人外たる彼女にはあまりにも不釣り合いな、人情に溢れる言葉だった。

以下略



736:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:28:21.37 ID:oz+HebRAO
澪「なに?」

 いちごの胸に刃を突き立て、ぐりぐりと内臓と肉を抉りつつ澪は答えた。
痛みは無い。だが全身を刺す恐怖にいちごは嗚咽を漏らす。

以下略



737:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:28:53.77 ID:oz+HebRAO
 滑らかにいちごの首を跳ね、宙に浮いた生首が床に着く前に三等分に裂く。
互いが無傷であるにも関わらず、辺りに散らばった赤黒い肉片は血腥い香りを漂わせていた。

いちご「もう悪い事はしないから……。もう止めて、あの怖いのは出さないで……!」

以下略



738:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:29:27.09 ID:oz+HebRAO
 澪が下した条件にいちごは何度も首を縦に振った。
澪の足に縋りつき、生まれたての小鹿のように震えるいちごに最早一片の悪意など残っていなかった。

澪「よし、じゃあ刑の執行だ」

以下略



739:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:30:00.51 ID:oz+HebRAO
いちご「もう止めて! もうやめてよぉっ! もう怖いの見せないで!!」

 絡み付く腕を振り払うも身体は徐々に裂け目に飲まれてゆく。

澪「そんな身体なら死にはしないよ。約束しただろ? 殺しはしないって」
以下略



740:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:30:41.05 ID:oz+HebRAO
澪「良かったじゃないか。次元の狭間に居る限りたとえこの星が滅んでも生き残れるよ。まぁ羨ましくはないけどさ」

 頬を伝ういちごの涙を拭い、耳元で囁く。
 冗談じゃない。永遠の苦しみなんか望んでない。
心の中でそう毒づき、いちごは澪の腕を掴んで必死に堪える。
以下略



741:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:31:18.23 ID:oz+HebRAO
 抜き身の刀をそっと振るい、自分の腕を掴むいちごの手を切断した。
いちごは黒い腕の力に抗えずにみるみるうちに引き摺られてゆく。

澪「甘いよ」

以下略



742:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:31:47.85 ID:oz+HebRAO
 黒の中から伸びた白い手、今にも霞んで消えてしまいそうなそれに何かが飛び付いた。

澪「唯──っ!?」

 救うべき者が自分が生み出した闇に躊躇なく飛び込んでいった。
以下略



743:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:32:19.28 ID:oz+HebRAO
 纏わりつく黒が守りたかったものすら飲み込んでゆくのを見て、澪は一瞬息を飲んだ。

澪「唯っ!!」

 咄嗟に我に返り、引き千切らんばかりの勢いで唯の肩を引く。
以下略



744:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:32:55.34 ID:oz+HebRAO
 やがて黒い腕は絶命寸前の芋虫のようにのたうち回り、氷の華となって飛散する。
それを待っていたのか、次元の裂け目は眠気に委ねた瞼のように閉じていった。

澪「なんでだよ唯……」

以下略



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