過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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342:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2010/12/23(木) 02:33:27.99 ID:proJgmo0
すっかり暗くなった町並みを一方通行は歩いていく。
結局打ち止めにはポーチとマグカップの他に、小さな長靴に入った菓子を買った。
そして番外個体にはというと、
(ガキはガキらしく甘ェ菓子でも食っときゃ良いだろ。アイツは――)
「……知らねェ。つーか何だァあの店、くっそ疲れるっつの。二度と行きたくねェな」
正直不安でもあるのだが、開き直ってしまうことにする。
恐らく彼女はいつものように悪態をつくだろうし、それはそれで気が楽だ。
そんなことを考えながらスーパーの前を通りかかった時、そういえば料理を一任されたことを思い出して顔をしかめた。
すっかり家事担当に収まっていて、番外個体好みの味付け、好みの風呂の温度を把握していて、『仕事』は呼ばれる方が異常であって。
昼のテレビ番組を見て微睡んだり、おでんを作ったり、プレゼントを買ったり。
それらのことを日常として受け入れてしまっているのは、恐ろしい事だと一方通行は思う。
その日常は脆く儚いものであると、自分はよく知っている筈なのに。
例えば、いつかの様に『学園都市』が番外個体や打ち止めのような一方通行の大切な人を利用しようと、奪おうとした時。
例えば、今の場所から元の場所へ、引きずり戻された時。泥沼の底へ、還る時。
日常が犯される理由は考えれば簡単に出てくるのに、それでも。
この日常を続けようと、この日常に、――彼女に。
縋ろうとしている自分は、どれだけ愚かで馬鹿なのだろう。
そんなことをしたって、終わるものは終わるし、消えるものは消えるのに。
自分が縋ろうとしているものは、簡単にも、崩れて、壊れて。崩されて、壊されて。崩して、壊して。
目の前から、消え去ってしまうのではなかったか。
幾らでも考えられる『消え去る』理由は、先に挙げた他にも沢山あって、
そう。例えば、番外個体に全て吐きだしてまった時には、
この日常は、この毎日は、…………
だから、だから、だから、
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